八条学園騒動記
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第五百二十八話 お見合いの前にその九
「破壊と虐殺の限りを尽くしたので」
「だからでしたね」
「はい、文字通りにです」
十字軍はというのだ。
「狂気の集団でした」
「エルサレムでも虐殺を行って」
「挙句はイスタンブールでもでした」
当時はビザンチウムといって東ローマ帝国の帝都だった。
「同じキリスト教国なのに攻め入り」
「あれは訳がわからないですね」
「そうですね、何故攻めたのか」
「それがです」
「私もです、そうして攻めて」
そしてとだ、ミンチンも話した。
「後は十字軍お決まりの」
「略奪と虐殺ですね」
「同じキリスト教の施設も破壊しました」
「本末転倒もいいところでしたね」
「語るに落ちた話でした」
第四回十字軍である、この後ラテン帝国という国が建国されたが欧州の歴史の汚点とさえされている。
「十字軍は」
「強引な布教どころか」
「異教徒はおろか」
「宗派が違いますと」
「同じキリスト教徒でも殺す」
「そうした有様でしたね」
「同じ頃のアルビジョワ十字軍も」
十字軍は中近東に行っただけではない、この十字軍は南フランスに攻め入ったし北方十字軍といってリトアニアに攻め入ったものもあった。
「酷いものでした」
「虐殺の限りを尽くした」
「この学園の博物館にもありますが」
あえて十字軍のコーナーを設けて大々的に批判を行っているのだ。これはコンキレスタドールや帝国主義時代のこともだ。連合の定番である反エウロパが教育や学問にも出ているのだ。
「実際にです」
「酷かったですね」
「彼等は愚かにもです」
ミンチンはあえて愚かという言葉を入れた、ミンチンもやはりエウロパを相当に嫌っているからそうしたのだ。
「キリスト教、ローマ=カトリック教会がです」
「絶対に正しいと信じて」
「そのうえで、です」
「十字軍の様なことを行いましたね」
「これこそまさにです」
「正義の暴走ですね」
「そしてその結果が」
十字軍の行為、それがというのだ。
「人類最悪の悪行の一つになりました」
「エウロパが犯したですね」
「エルロパは多くの悪事を犯していますが」
連合ではこう教えられていて信じられているのだ。
「しかしです」
「その中でもですね」
「コンキレスタドール、帝国主義時代とです」
「エウロパの三大悪行ですね」
「それをしました」
「彼等は反省していないとか」
これは三つ共だとされています。
「それも全く」
「エウロパ人は反省しません」
「そうですよね」
「ですからサハラにも攻め入りました」
サハラ侵攻のことにも言及した。
「そして十字軍の様なことを」
「再び行いましたね」
「はい、ですから」
ミンチンはさらに話した。
「彼等は反省しません」
「何があろうとも」
「十字軍の頃から。ですがまことに正しいと思っていても」
「自分が」
「それはその人のことで」
あくまで個人の倫理観でしかないというのだ。
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