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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十話 二重奏その五

「何ていってもな」
「そうだよな」
「確かに他の曲もいいけれどな」
「ショパンの音楽は違うよな」
「ポーランドが生んだ偉大な音楽家だな」
「そうだよな、奇麗でな」
 これもショパンの曲の特徴だ。
「聴きがいのあるな」
「そうした曲が多いよな」
「早く亡くなったのが残念だな」
「それモーツァルトだよな」
「もっと長生きしていたらな」
「もっといい曲残せただろうにな」
「本当に残念だな」
 ショパンも長生き出来ていない、ジョルジュ=サンドとの失恋も堪えてそうして傷心のまま世を去ったらしい。
「あの人もな」
「もっと曲残してな」
「楽しませてほしかったな」
「本当にそうだよな」
 今回は歌劇部の時よりもしんみりきた話だった、こうした通とかマニアとか言われる人の話も結構タメになると思う。
 それでも今回はショパンの人生にも思いを馳せたそれはしんみりときた、それで僕も自然とショパンの人生にも思いを馳せて。
 コンサートがはじまるのを待った、するとまずは。
 一年生の女の子が出て来た、奇麗なドレスは衣装部から借りたものだった。そのドレスを着た女の子がだ。
 ベートーベンを演奏した、するとだった。
「よかったな」
「ああ、あの子いいな」
「いい演奏するな」
「まだ一年生だっていうけれどな」
「ずっとやってた感じするな」
「子供の頃からピアノやってたな」
 また隣の人達が話した。
「どうやらな」
「そうみたいだな」
「それがわかるな」
「センスが磨かれていてな」
「丁寧な演奏だったな」
「本当にな」
「凄いな」
 こうしたことを話していた、どうも批評といってもこの人達の批評は穏やかで優しい。中には貴方何様という批評家がいるがこれは聞きたくない。
 一年生の他の子も演奏をして二年生の子達もだった。
 モーツァルトやベートーベンを演奏していく、するとその都度だった。
「いいな」
「どの子も」
「それぞれ演奏する曲わかってるな」
「本当にな」
「いい感じで演奏してくれるな」
「うちのピアノ部練習熱心だな」
「どの子もよく練習してるな」
 そのことを高く評価していた、隣の人達は。
「芸術はセンスだっていうけれどな」
「やっぱり努力もあってだしな」
「モーツァルトは天才だったっていうけれどな」
 このことは事実でもというのだ。
「それでもな」
「いつも作曲してたんだよな」
「作曲していないと苦しいとかな」
「そんな風にも言ってたしな」
「実際凄い作曲してるしな」
「モーツァルトも努力していたんだよ」
「というか努力を努力を思わない」
「息をするみたいに作曲していたからな」
 音楽のそれをだ。
「だからモーツァルトも努力家だったんだよ」
「努力を努力を思ってなかっただけでな」
「人は息するのにまず努力しないな」
 体調次第でそうなってしまう時もある。
「だからな」
「そうした状況だからな」
「それを考えるとな」
「普通にな」
「モーツァルトにとって作曲は息と同じだったんだよ」
「そこまで普通のことだっただけだよ」
「そう思えること自体が凄いけれどな」
 天才である由縁だろうか、このことも。 
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