八条学園騒動記
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第五百二十七話 お見合い相手その十一
ミンチンもマリアもそこからも学んだ、そのうえで次のコーナーに向かうとそこである若くダンディな雰囲気の学芸員を見た。
丁度そこは音楽コーナーだった、それで言うのだった。
「まさか」
「あの人がですね」
「ひょっとしてですが」
こうミンチンにも言うのだった。
「そうかも知れないです」
「では今から」
「はい、あの人を」
「何気なくですね」
「擦れ違う感じで」
あくまでそうした風を装ってというのだ。
「見てです」
「どういった人かですね」
「確かめようと」
その様にというのだ。
「思っていますが」
「では」
それでと言うのだった。
「これから」
「あちらに行きましょう」
「そして通り過ぎましょう」
そういう風に進んでとだ、二人で話してだった。マリアはその人の横を通った。そうして見た彼の横顔は彼女の好みだった。
それでだ、マリアは通り過ぎた後でミンチンに話した。
「私としては」
「どうでしたか」
「横顔だけですが」
見たのはというのだ。
「結構好みでした」
「そうでしたか」
「後は実際にお会いして」
「そしてですね」
「どういったお人柄か」
最も大事なこのことをというのだ。
「確かめたいと思います」
「そうですね、では」
「はい、後はです」
「お見合いですね」
「そちらに」
赴くとだ、マリアはミンチンに話した。そうしてこの日は閉館時間まで二人で博物館の中を巡ったのだった。
お見合い相手 完
2019・6・9
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