八条学園騒動記
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第五百二十七話 お見合い相手その七
「真面目な、ただ」
「ただとは」
「極端にはどうかですが」
それでもとだ、ミンチンはマリアに中南米の遺跡を代表するものである巨大な人面岩を見ながら話した。その大きさは優に人の背丈位はある。
「やんちゃな人の方が」
「先生としては」
「心配しないですね」
「真面目だとですか」
「真面目一辺倒ですと」
どうしてもというのだ。
「杓子定規になって」
「融通等がですか」
「世の中のことをわかりきれないので」
だからだというのだ。
「世の中は複雑で定規だけでは」
「計りきれないですね」
「そうしたものなので」
「真面目な人よりは」
「多少やんちゃな人の方がですか」
「いいとです」
その様にというのだ。
「思います」
「そうですか」
「そして」
さらに言うミンチンだった。
「私が受け持っていたその人も」
「真面目でしたか」
「かなり。ですが次第に砕けていって」
そしてというのだ。
「やんちゃなこともです」
「覚えていかれましたか」
「程よく」
「やんちゃもですね」
「人は必要です」
こうマリアに話した。
「かくいう私も長い間かなりです」
「真面目でしたか」
「それだけでした。学生時代はそれこそ」
その頃のミンチンはというと。
「勉強と規則を守ることと読書だけが」
「生活でしたか」
「その風でした。ですが先生になって」
つまり就職してからというのだ。
「色々とやんちゃな人を見て」
「そうしてですか」
「次第にですが」
「やんちゃな方がですか」
「いいとです」
「思われる様になりましたか」
「そうなりました、世の中は本当に複雑ですから」
だからだというのだ。
「人はです」
「真面目なだけではですね」
「よくないです」
そうしたものだというのだ。
「かえって」
「では」
「悪いことや裏道のことも知って」
「そちらに入らない様な」
「そうしたこともです」
「人は必要ですね」
「そう思う様になりました」
教師になってからそうなったというのだ。
「就職してから」
「就職してということは」
「世の中に入って」
そうしてというのだ。
「知りました」
「そうですか」
「世の中は簡単なものでないですから」
「非常に複雑ですね」
「ですから杓子定規では」
とてもというのだ。
「中々です」
「世の中を進んでいけないですか」
「裏も知らないと」
「そこに入らずとも」
「はい、知っていないと」
そうでなくてはというのだ。
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