八条学園騒動記
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第五百二十七話 お見合い相手その五
「何よりもスポーツマンシップを」
「尊んでいますね」
「スポーツマンシップがないと」
このことは連合でもエウロパでも同じだがむしろエウロパの方が強い。
「それがないと」
「例えスポーツをしても」
「意味がないですね」
「全くです」
こう二人で話した、そしてだった。
ミンチンはそのアナトの像、古代メソポタミアのその時の姿のそれを見てからマリアにこんなことを言った。
「イスラムの頃には」
「この女神の信仰もですね」
「なくなっていましたが」
「イスラムは過去もですね」
「何らかの形で尊重することは」
「聖書に対してそうであって」
「他の宗教も認めるので」
ジズヤを納めるとだ。
「いいですね」
「そうですね、寛大です」
「そしてハッピーエンドが多いことも」
「そのこともいいですね」
「本当に」
コーランの中のそれはというのだ。
「聖書とはまた違ったよさですね」
「逆境にも挫けないので」
これもコーランの特徴だ、コーランの登場人物達は皆逆境になればなるだけ燃え上がる。これはムハンマドもそうだったらしい。
「明るいですね」
「本当に」
ミンチンはマリアの言葉に微笑んで頷いた。
「連合でもムスリムは多いですが」
「そしてこの博物館にもイスラムのコーナーはありますし」
「絵画や像は少ないですが」
これはイスラムが偶像崇拝を否定しているからだ。
「それでもですね」
「展示品は多いです」
イスラムのコーナーではだ。
「有り難いことに」
「左様ですね」
「私はあちらも好きでして」
マリアはミンチンに今度はエレキシュガルの説明を読みつつ応えた。
「今回も楽しみにしています」
「そうなのですね」
「アラベスクがいいですね」
このイスラム文化独特の模様がというのだ。
「とても」
「ああした模様が発達しましたね」
「イスラムでは」
「それが多く展示されているので」
「はい、好きです」
マリアとしてはというのだ。
「まことに」
「そうなのですね」
「はい、そして今は」
「メソポタミアの神々を」
「よく観ていますが」
「この地域の神々も多いですね」
「エジプトと同じで」
先程二人が観て回ったコーナーと、というのだ。
「そして連合では」
「どちらの地域の神々も信仰されていますね」
「ケルトもスラブも」
「そして中南米も」
マヤやアステカ、インカ等だ。
「ひいては北米の信仰もね」
「シベリアもそうで」
「そしてアボリジニーの信仰も」
虹蛇等の信仰も健在なのだ。
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