| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百二十五話 博物館へその五

「あの様なです」
「黒と金の様な」
「あれこそが本当のダンディズムで」
「派手な軍服は、ですか」
「特にベルサイユの薔薇の様な」
 ミンチンはこの時代にも残っている日本漫画の不滅の漫画の話をした、とにかくこの漫画は歴史に残っているのだ。
「あの様な」
「ああ、オスカルが着ていた」
「貴族を思わせるので」
「実際に貴族の軍服ですし」
「はい、ですから」
「当時のエウロパ各国の軍服は、ですか」
「嫌いです」
 そうだというのだ。
「そして何よりもナチスの軍服は」
「あの黒の」
「極悪人の服ですね」
「はい、あの軍服は」
 マリアもミンチンのその言葉には納得した顔で頷いた。
「まさにそうですね」
「実際にナチスは悪いことをしていましたね」
「悪の限りを尽くしていましたね」
「文字通りに」
 連合ではそうなっている、確かにナチスがユダヤ人虐殺や弾圧といった行為を行っていたことは事実である。
「それで、ですか」
「私はあの軍服が一番嫌いです」
「そうですか」
「軍事博物館でも人類の負の遺産のコーナーにです」
「飾られていましたか」
「エウロパ諸国の軍服も」
「貴族の専横ですね」
「その象徴として」
 展示されているのだ、とにかく連合は貴族制度を否定しているのだ。
「飾られていました」
「そうでしたね」
「それは先生もご存知ですね」
「はい、貴族といえば」
 まさにとだ、マリアはミンチンに答えた。
「人類の間違った歴史の歩みなので」
「その一つですね」
「ですから」
「人類の負の遺産にですね」
「そのコーナーに展示されていました」
「そうでしたね、貴族なぞというのものは」
 マリアも連合の者として話した。
「なくていいですよね」
「全く以て」
「左様ですね、そして貴族以上にナチスは」
「悪ですね」
「それであの軍服を見て」
 軍事博物館に展示されているそれをというのだ、尚ナチスは軍服を後に有名な黒からドイツ軍伝統のジャーマングレーに色を変えている。
「私は本当にです」
「悪を感じましたか」
「ハイドリヒの様な」
「ああ、ハイドリヒですか」
「彼の姿も思い浮かべました」
 ナチスを象徴する人物の一人である、冷酷にして鋭利な頭脳でナチスの高官になり辣腕を振るった人物だ。通称を金髪の野獣と言った。
「写真で観た」
「面長で金髪の」
「そして目が小さくて鼻が高い」
「細身で腰が大きくて」
「あの姿を」
 ナチスの黒い軍服を着た彼をというのだ。
「思い浮かべてしまいました」
「そうでしたか」
「観ていて気持ちいいもではないです、ただ」
「ただといいますと」
「ああしたものも」
 ナチスやミンチンが言う貴族の軍服はというのだ。
「学生の人達が観ていいですね」
「人類の負の遺産もですね」
「知ることも」
 このこともというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧