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八条学園騒動記

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第五百二十五話 博物館へその六

「大事なので」
「その通りですね」
「人類は残念ながら過ちも犯してきました」
 ミンチンは教育者としてこの言葉を出した。
「そしてその中で、です」
「エウロパの貴族制度とナチスは」
「最大のものの一つです」
「大航海時代、帝国主義時代と並んで」
「そうですので」
 それでと言うのだった。
「是非です」
「その過ちはですね」
「彼等にも」
「学んでもらいたいです」
「人類の過ちを知ることも教育であり」
「学問です、人は賢明でもありますが」
 ミンチンはマリアに悲しい顔で話した。
「同時に愚かでもあります」
「二つの顔がありますね」
「はい、ですから」
 それ故にというのだ。
「人の賢明さを学び」
「愚劣さもですね」
「学んで欲しいです、双方を知ってこそ」
「人はですね」
「真の意味で真実を知り」 
 そしてというのだ。
「賢明になれますから」
「人は善であり悪でもある」
「二つの顔がありますので」
 こうも言うのだった。
「ですから」
「それ故にですね」
「軍事博物館もいいものを展示していると思います」
 尚ミンチンもマイラもその展示が連合の主観によるものとは意識していない、連合の反貴族主義と反エウロパ感情が大きく入っていることを。
「貴族やナチス」
「そういった人類の歴史の恥もですね」
「知ることが出来るのですから」
「軍事を通じてですね」
「他には負の遺産コーナーに中南米やアフリカ侵略のこともありました」
「スペインやイギリス、フランスの」
「どれも非常に酷いものです」
 ミンチンは顔を曇らせて話した。
「搾取と収奪、虐殺に迫害、酷使と」
「悪の限りを尽くしていますね」
「野蛮でした」
「それがキリスト教を誤解したエウロパ人であり」
「非道さであり」
「我々は人間としてですね」
「彼等の様なことをしてはいけない」
 絶対にという口調での言葉だった。
「なってもいけない」
「そう強く思わせるからですね」
「そうしたこともです」
「学ぶべきですね」
「私達の教え子達は」
 絶対にとだ、ミンチンはまた言った。
「そうあるべきです」
「その通りですね、ですが」
「ですがとは」
「いえ、ナチスのあの軍服は私も知っていますが」
 黒と赤、銀のそれはというのだ。
「そのものが悪というか」
「その雰囲気ですね」
「それに満ち満ちていますね」
「そう思いますね、先生も」
「ナチスがしたことのせいか」
 連合の言う悪事である。
「そのイメージで」
「悪のイメージが強いですね」
「それも非常に」
「その軍服も飾っています、そして人気は」
「ないですね」
「悪人が着る服とです」
 そうした軍服だというのだ。 
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