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八条学園騒動記

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第五百二十五話 博物館へその三

「どうにもです」
「おわかりにはですね」
「なりませんでした。戦争はないに越したことはないですし」
「その通りですね」
 このことはマリアも同意だった。
「まことに」
「そうも思いますし」
「あちらの博物館は、ですか」
「どうも」
 通っていてもというのだ。
「それでもです」
「そうですか」
「はい、ですから」
「一度通われて」
「足を向けていませんしこれから」
「行かれることはですか」
「ないと思います」
 そちらにはというのだ。
「今後は」
「学園の中でも」
「はい、ただ軍人さん達は好きです」
 軍事に興味はないがというのだ。
「立派な方々です」
「国家や私達市民を守ってくれる」
「有り難い人達です」
 彼等についてはこう言うのだった。
「警察官や消防署員と並ぶ」
「立派な職業の人達ですね」
「そう思います」
 ミンチンはマリアに微笑んで話した。
「そして軍服も」
「お好きですか」
「連合軍の軍服は」
 黒と金のスーツのそれはというのだ、二十世紀中頃にイタリア海軍からはじまった伝統の軍服である。
「恰好いいですね」
「そうですね、私はセーラー服もです」
 この軍服もというのだ。
「好きです」
「ああ、兵隊さんの軍服ですね」
「可愛いですよね」
「確かに。セーラー服もいいですね」
 ミンチンもだ、この制服に笑顔で話した。
「若い人達が着ていますと」
「可愛いですね」
「格好良くもあって」
「そう思いますから」
 だからだというのだ。
「私はセーラー服もです」
「お好きですか」
「制服にも使われていますが」
 女学生のそれにだ、この時代でも採用されているのだ。
「いいですよね」
「そうですね、ただ何でも」
「何でも?」
「セーラー服は連合では普通ですが」
 中央政府軍も各国軍も知っている、このことは。
「他の国にはないみたいですね」
「ああ、マウリアやエウロパでは」
「何でも他の国の軍隊は基本兵隊さんも同じ軍服で」
「セーラー服でなくて」
「連合だけが」
 このことは連合では軍服が海軍のものから生まれているからだ、海軍では兵士はセーラー服だったからだ。
「そうであって」
「他の国ではですか」
「セーラー服はないとか」
「それはまた」
「変わっていますね」
「兵隊さんはセーラー服というのは」
 このことはというのだ。
「常識なので」
「そうですよね」
「はい、連合では」
「けれど他の国では」
「違うそうで」
「それは私も知りませんでした」
 まさに今知ったという顔でだ、マリアは答えた。 
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