八条学園騒動記
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第五百二十五話 博物館へその二
「ですから本当にです」
「毎月ですね」
「通っています」
「多い時は毎週ですね」
「そうしています」
「そうでしたか」
「それで明日も」
こうも言うのだった。
「通わせてもらうつもりです」
「今日は博物館で、ですか」
「明日は植物園です」
「そうして楽しまれるのですね」
「そのつもりです。休日はよく娘達を連れて」
ミンチンは既婚者である、サラリーマンの夫との間に娘が二人いるのだ。尚娘達の上に息子がいるが彼は今は大学を出て八条グループの企業に就職してカンボジアにいるので現在は同居していないのだ。
「行っています、娘達も好きですから」
「植物園を」
「はい、ただ」
「ただ?」
「上の娘が一番好きなのは美術館で」
「あちらですか」
「下の娘は博物館です」
「私達が今日に行く」
「そちらが好きでして」
それでというのだ。
「植物園は二人共に番目だとです」
「その様にですか」
「行っています」
ミンチンはマリアにこのことも話した。
「私もそうした場所は好きですが」
「やはり一番好きなのは、ですね」
「植物園です」
こちらになるというのだ。
「やはり」
「そうなのですね」
「学園内の全ての施設によく行きますが」
「水族館や動物園にも」
「鉄道博物館も少し」
こちらにもというのだ。
「行っています」
「鉄道博物館もですか」
「実は主人が好きで」
それでというのだ。
「主人に連れられて」
「それで、ですか」
「行ったことがあります」
「あちらにもですね」
「軍事博物館も。ただ戦争は好きではないので」
「そちらは、ですか」
「武器や兵器も詳しくなくて」
ミンチンは軍事博物館、学園の中にあるこの施設については少しバツが悪い感じの顔になってマリアに話した。
「どうにもです」
「通われていても」
「一度行っただけです」
「そうでしたか」
「戦車を観ても」
博物館の中で展示されているそれをだ。
「どういった種類か」
「おわかりになりませんか」
「どうにも」
「そうですか」
「はい、T-34という戦車を聞いても」
二次大戦中のソ連軍の戦車である、戦車史上の傑作とまで言われている。
「どうにも」
「T-34ですか」
「この名前は憶えていますが」
「あちらに行かれた時に」
「どういった時代のどの国の戦車か」
「そうしたことがですね」
「学芸員の方に説明されても」
軍事博物館勤務の彼等にというのだ。
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