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八条学園騒動記

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第五百二十五話 博物館へその一

               博物館へ
 お見合いを受けると決めたマリアは相手が働いる博物館に行ってみることにした、するとここでだった。
 学年の副主任であるミンチン=リーが彼女に言ってきた。眼鏡をかけた面長の顔に長い銀髪を上でまとめている。目はアイスブルーでスーツを丁寧に着こなした四十代の女性だ。生まれはペルシャである。生真面目で教育熱心だが融通が利かないと言われている。
「先生、博物館に行きませんか」
「博物館ですか」
「実は今度姪の一人が博物館に勤務することになりまして」
「そうなのですか」
「一番上の姉の末っ子の娘が」 
 その彼がというのだ。
「この度大学を卒業して」
「この学園の博物館に」
「いえ、地元です」
「地元の、ですか」
「ペルシャの。ただそのお話を聞きまして」
 ミンチンはマリアに丁寧な口調で話した。
「私も博物館に行きたくなりまして」
「それで、ですか」
「先生が最近博物館に興味がおありと聞きまして」
 実はマリアが教頭と話していることを博物館の話のことだけ聞いたのだ、お見合いの話は聞いていない。
「それで、です」
「私もというのですね」
「お誘いさせてもらっています」
 丁寧な口調での言葉だった。
「この度。今日の放課後にでも」
「そうですね、それでは」
「はい、宜しいでしょうか」
「私でよければ」
 マリアはお見合いのことを隠してミンチンに答えた。
「では」
「はい、それでは」
「今日二人で、ですね」
「行きましょう」
「それでなのですが」
 笑顔でだ、ミンチンはマリアにこうも言った。
「実は私よく行くのは植物園で」
「あちらですか」
「お花が好きで」
 それでというのだ。
「あちらにはです」
「よく、ですか」
「行っていてです」
「詳しいのですね」
「お花のことにも」
「そうだったのですね」
「特に桜が好きで」
 この花がというのだ。
「桜の季節になりますと」
「春にはですか」
「はい、いつもです」 
 マリアに笑顔で話した。
「桜を観に行っています」
「そうだったんですね」
「そして桜以外のお花も好きで」
「よく植物園に行かれていますか」
「最低でも月に一回は」
「毎月ですか」
「多い時は毎週の様に」
 それだけというのだ。
「通っています」
「そこまでお好きですか」
「はい、それに学園関係者は入園料は無用ですね」
「学園の他の施設と同じで」
 他には八条グループの関係者もである。
「そうですね」
「ですから」
「お金もいらないので」
「このことはやはり大きいです」
 ミンチンはマリアに笑顔で話した。 
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