八条学園騒動記
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第五百二十四話 先生のお見合いその九
「やはりです」
「多少の過ちは、ですね」
「問題になっていません」
聖書、特に旧約のそれでは恐ろしい報いが来る様なことでもだ。
「全く」
「左様ですね」
「それがアッラーでありイスラムなので」
「豚肉もですね」
「そしてお酒もです」
こちらもというのだ。
「いいのです」
「公では飲めなくても」
「居酒屋もありますし」
イスラム社会でもだ。
「まあ公でなければ」
「いいのですね」
「そうです、そして相手の彼は」
「食事制限のない宗教を信仰していて」
「それで、です」
「カレーもですね」
「心配ありません」
この料理を作って食べることについてもというのだ。
「ですから」
「そうしたことについては」
「お気遣いなく」
それも一切というのだ。
「ご安心下さい。ただ」
「ただ?」
「お魚のお刺身はいいですが」
「そちらは食べられますか」
「カルパッチョも」
この料理もというのだ。
「ですがそれは魚介類だけで」
「貝や海老は大丈夫ですか」
「ですが日本人はよく食べますね」
こう前置きして話すのだった。
「お肉も生で」
「あちらもお刺身で食べますね」
そういえばとだ、マリアも生肉の刺身のことを思い出して頷いた。彼女も日本にいて長いので刺身を食べることも多いのだ。
それでだ、肉の刺身のことも知っていて言うのだった。
「牛肉や鶏肉で」
「馬刺しが有名ですね」
「結構色々なお肉を生で食べますね」
「日本人の食習慣です」
それだというのだ。
「生のものを食べることは」
「そうですね」
「はい、ですが彼は」
「魚介類はよくても」
「お肉については」
こちらの刺身はというのだ。
「抵抗があるらしく」
「食べられないですか」
「はい」
そうだというのだ。
「そう言っていてです」
「それで、ですか」
「そのことはご了承下さい」
「わかりました、ただ私も生肉は」
つまり動物の刺身はというのだ。
「食べないので」
「お刺身は召し上がられますね」
「はい、そちらは大丈夫ですが」
それでもというのだ。
「生のお肉のお刺身は」
「召し上がられていないですか」
「興味がなかったので」
それでというのだ。
「これまで一度もです」
「召し上がられていないですか」
「そうです、ですか」
「このお話は、ですか」
「そう言われましても」
それでもというのだ。
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