夢幻水滸伝
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第百一話 超大国の者達その四
「生臭いですね」
「そやな」
メルヴィルもルイスに否定せずに返した。
「人間のそうした面が出てるな」
「内政ではそうでもないですが」
「外交になるとな」
「それが、ですね」
「そうした面も出て来るんや」
「人と人とのことで」
「しかも利益が関わるからな」
それでというのだ。
「そうなるんや」
「そういうものですね」
「アメリカ統一までも色々あったけどな」
「これからもですね」
「何かとあるで」
「そうですか」
「そういうもんやって割り切ってな」
「ことを進めていくべきです」
黒い身体の岩人だ、着ている服は騎兵隊を思わせる青い制服である。大柄な身体はスタインベックに匹敵する。地異星エドワード=フォークナーだ。アメリカマイアミ州出身で職業はカラーギャングであり持っている神具は炎の化身サラマンダーと全てを捕らえる縄グレイプニルだ。
「と、なりますね」
「その通りや」
トウェインが答えた。
「結局のところはな」
「そういうことですね」
「今はそうした時や」
「戦の前の外交ですね」
「日本そして他の勢力の思惑を探ってな」
「そして見抜き」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「こっちの考えを通す」
「そうしていきますね」
「こっちの考えは一つや」
トウェインは確かな声で述べた。
「太平洋とアフリカ、北極や南極、地下世界もな」
「全てですね」
「出来るだけ無傷で即座に手中に収める」
「それが我々の考えですね」
「それをこの会議で通す」
アメリカのその考えをというのだ。
「そうするんや」
「その為にですね」
先程まで整った顔立ちのリーゼントの長身の男が灰色の狼人になった、ワーウルフだ。地捷星ソール=ガーランドだ。職業は冒険者である着ている服は動きやすい黒い上着とズボンだ。アメリカオクラホマ州出身で持っている神具は二つの棍棒ナグルシとアイムールだ。
「おらっち達は全員でここにいますね」
「その通りや」
まさにとだ、トウェインはガーランドに答えた。
「国を空にしてまでしてな」
「そういうことですね」
「観光も楽しんで他の勢力の連中と親睦を深めてる」
「美味いもんも食って」
「そうしてるけどな」
「それだけじゃないってことですね」
「外交もしてるんや、むしろな」
ガーランドにさらに話した。
「それがや」
「メインですよね」
「そや、結局はな」
「アメリカの国益を通す」
「それが第一や、今わい等はアメリカって勢力や」
「この世界でもですね」
「統一したら別の勢力になるけどな」
そうなるということもだ、トウェインがガーランドに話した。
「それでもや」
「今はですね」
「アメリカって勢力、国と言ってもええな」
「おらっち達の起きた世界みたいに」
「そやからな」
「アメリカの国益を手に入れるってことですね」
「九十五億の人口と広大な国土をや」
まさにそういったものをというのだ。
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