八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百二十四話 先生のお見合いその四
「お父さんはどうかしら」
「今代わるわね、それと」
「それと?」
「お父さんにもそのお話するから」
お見合いのそれをというのだ。
「いいわね」
「ええ、お願いね」
マリアは母にすぐに答えた、そしてだった。
母はすぐにマリアの父つまり自分の夫に理由を話した、するとすぐに父が電話に出て娘にこう言った。
「いい話じゃないか」
「お父さんもそう言うの」
「ああ、これでな」
「相手の人がいい人なら」
「それでな」
その時点でというのだ。
「結婚したらいい」
「それじゃあ」
「一度な」
「まずはお会いしてっていうのね」
「それでな」
「いい人って思ったら」
「そうしろ」
結婚しろというのだ。
「いいな、これでお前もお母さんになってな」
そしてというのだ。
「わし等はまた孫が増えるな」
「兄さん達も姉さん達も結婚してるしね」
そして子供がいるのだ、マリアは兄が二人姉が三人いて全員結婚して子供がいるのだ。尚弟と妹も一人ずついる。
「それで私も」
「結婚してな」
そしてというのだ。
「子供、わし等の孫をな」
「作ればいいのね」
「そうしたらな」
それでというのだ。
「絶対にな」
「いいことだから」
「いいぞ、子供が出来たら」
父は笑いながらこうも言った。
「それでな」
「一人でね」
「いきなり色々なサービスが貰えてな」
「二人、三人になるにつれて」
「サービスも増えるからな」
行政上のそれがというのだ。
「五人六人になるとな」
「もっとよくなるから」
「だからな」
それ故にというのだ。
「結婚はな」
「しないと駄目ね」
「ずっと一人でいたいか?」
父は娘に明るく笑って尋ねた、明るく笑っているのがスマホの向こうのマリアからでもよくわかった。
「それとも」
「それはね」
そう言われるとだった。
「やっぱりね」
「いたくないだろ」
「私もこれまでね」
「何時までも一人はな」
「いるつもりなかったわ」
全く、というのだ。
「これまでもね」
「そうだな、じゃあ今回のお見合いはな」
それはというのだ。
「一度してみろ、そしてな」
「いい人だったら」
「結婚しろ」
是非にと言うのだった、父も。
ページ上へ戻る