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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十五話 読書部の中でその一

               第二百三十五話  読書部の中で
 僕はチェチーリアさんにさらに話した。
「幕末は人だけのことかっていうと」
「そうでもないのね」
「桜田門外の変だって」
 幕末の重要なターニングポイントであるこの事件もだ。
「雪の中じゃないと」
「あんな風になってなかったのね」
「ああしていきなり襲撃をかけても」
 例えそれがかなり綿密な計画であってもだ。
「雪じゃなかったらね」
「成功しなかったかも知れないのね」
「雪が降っていて」
 その時の江戸にだ。
「彦根藩の人達は刀を傷まない様に質の悪いものにして」
「ああ、雪に濡れて」
「錆びるから」
 柄にしても傷む。
「あと覆いもしていたから」
「襲われるとは考えてなかったのね」
「全くね」
 もうこれはだ。
「江戸時代でそんなことは一度もなかったし」
「襲われることは」
「そもそも江戸市中で刀抜いたら切腹だし」
 江戸城内では言うまでもない。
「しかも桜田門、江戸城の正門のね」
「そのすぐ前よね」
「そこで襲われるとか」
 それこそだ。
「幕府も誰もね」
「考えてなかったの」
「彦根藩の方でもね」
 尚江戸城の桜田門から彦根藩の江戸屋敷井伊直弼がいた場所までほんの六百メートル位だ、まさに目と鼻の先だった。
「想像もしていなかったよ」
「それで刀は悪いものにして」
「覆いもしてね」
 刀を守ってだ。
「江戸城に向かっていたんだ」
「そこで雪じゃなかったら」
「当然質のいい刀で」
 それでだ。
「覆いもしてなくて」
「すぐに刀抜けたのね」
「想像してなくても」
 襲われるとはだ。
「それでもね」
「それが出来たのね」
「雪のせいで」
 本当にだ。
「襲撃を防げなかったこともね」
「原因なのね」
「そう、だからね」
「気候って関係あるのね」
「そうなんだ、まあ地震で邪魔な人が死んで」
 僕は今度は井伊直弼のことも話した。
「安政の大獄出来た人がね」
「雪でなのね」
「死んだと思うとね」
「因果応報?」
「そうかもね」
 こうチェチーリアさんに話した。
「ひょっとして」
「まあ天罰かしらね」
「チェチーリアさんはそう思うんだ」
「僕もあの人嫌いだから」
 井伊直弼という人はというのだ。
「だからね」
「そう言うんだ」
「そう、地震で利益を得たけれど」
 邪魔な水戸藩のブレーンが死んでだ。
「雪でね」
「命を落とした」
「そう思ったけれどどうかな」
「まあね、井伊直弼って人はとにかく評判悪いから」
 かく言う僕も嫌いだ。 
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