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夢幻水滸伝

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第九十九話 中原の者達その十五

「そこは実際にです」
「魯迅の故郷でも炒めてるだぎゃな」
 坂口は中国近現代文学を代表する作家の代表作の場面を思い出した。
「そうだぎゃな」
「ですから冷えたご飯はです」
「ああしてだぎゃな」
「食べるのは基本です」
「そうだぎゃな」
「餅もです」
 この餅は小麦粉を練って焼いたものだ、日本でもある韮餅等がそれだ。
「そうして食べますし」
「包もだぎゃな」
「そちらもです」
「とかく温かいのが基本だぎゃな」
「そうです」
 金は坂口にはっきりとした口調で答えた。
「我が国は」
「それでお握りも食べないぎゃな」
「最近変わったのは事実ですが」
 それでもというのだ。
「やはり温かいものですね」
「そういうことだぎゃな」
「それで今夜はです」
「何を食うだぎゃ」
「水炊きの予定ですが」
「中国の星のモン全員で食うだぎゃな」
「その予定です」
「ならあれだがや」
 鶏肉と聞いてだ、坂口は金達に話した。
「名古屋の鶏がいいだがや」
「鶏も名古屋ですか」
「実際に美味いだがや、だからお勧めだがや」
「そうなのですか」
「本当に全員一度名古屋に来るだがや」
 坂口はここでも郷土愛を見せた、そのうえでの言葉である。
「絶対に後悔はしないだがや」
「ではその時は」
「宜しくお願いします」
 社交辞令ではなく本気でだった、中国の人の星の者達は坂口の正倉院への説明も聞いた。親睦を深めつつそのうえでこれからのことも考えていた。


第九十九話   完


                 2019・1・24 
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