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夢幻水滸伝

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第九十九話 中原の者達その十四

「そしてどえらいことやらかして破滅だがや」
「犯罪ですね」
「犯罪も犯してですね」
「そして冷や飯を食うことになりますね」
「ああ、中国人はあったかいものしか食わなかっただぎゃな」
 坂口は中国の星の者達の言葉からこのことを思いだした。
「最近は刺身とかも食う様になったと聞いてるだぎゃが」
「はい、今もその傾向は強いです」
「ご老人は今もそうですね」
「温かいものしか食べません」
「冷えたご飯もです」
「冷や飯は犯罪者が食うものだぎゃな」
 このこともだ、坂口は知っていた。八条学園で中国からの留学生達と話してそのうえで知ったことだ。
「刑務所で」
「だから冷や飯を食う人間になるなと言われます」
「悪いことはするなと」
「そう言われます」
「そうだぎゃな、まああれだがや」
「あれとは」
「いや、冷えたご飯を食わないとだがや」
 このこといついてだ、坂口はこんなことを述べた。
「お握りは駄目だぎゃな」
「最初わたくしも食べませんでした」 
 莫が答えた。
「実際に」
「やっぱりそうだぎゃ」
「はい、どうかと思いまして」
「食べものとしてだぎゃな」
「そうです。中国にいた時に日本のそのお話を聞いてです」
「絶対に食うかとだぎゃな」
「思いました」
 莫は坂口に真剣な顔で答えた。
「とかく我が国では冷えたものは口にしないので」
「それは軍隊でもだぎゃな」
「その様ですね、レーションもです」
 中国軍のそれもというのだ、このことは日本でもとある漫才コンビがユーチューブの動画で実際に自分達が食べて紹介している。味はいいとのことだ。
「温めることをです」
「念頭に置いてるだぎゃな」
「とかくそうした食文化なので」
「中華料理もそういうのが多いだぎゃな」
「火の料理です」
 こう言ったのは金だった。
「確かに近頃は和食も人気がありです」
「お刺身も食うだぎゃな、お刺身も元々中華料理だぎゃ」
「なますですね」
「それだがや」
「かつては生ものも食べていました」
 金もその通りだと答えた、中華料理が何でも火と通す様にしたのは宋代以降と言われているがその宋代を舞台にした作品である水滸伝でも主人公達が鯉の刺身を食べる場面がある。
「そして今もです」
「徐々にだぎゃな」
「サラダも食べますし」
 生野菜もというのだ。
「変わってはきていますが」
「やっぱり基本は、だぎゃな」
「火を通します」
 温かいものだというのだ。
「ご飯も冷えていればです」
「炒飯にするだぎゃな」
「はい」  
 その通りだとだ、金は坂口に答えた。 
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