夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九十九話 中原の者達その十三
「どうにもならない奴だがや」
「堕ちるべくして堕ちる」
ここで言ったのは屈だった。
「そうなるということですね」
「人では救えない、いや」
「どうしてもですね」
「どんな宗教や哲学でも救えない奴はいるだがや」
「どうにもならないまでに愚かで」
「どうにもならない屑もだがや」
所謂悪人達のことだ。
「そうした連中はだがや」
「どの様な宗教や哲学でも」
「そして神仏でもだがや」
「救えないですか」
「そもそも救われようとも思っていないだがや」
そうした考えだというのだ。
「そもそも」
「だから余計にどうにもならないのですね」
「そのことがわかっただがや」
「その後輩に出会って」
「勿論何も出来なかっただがや」
「部活も雑用も」
「勝手に暴走して大惨事を起こして自己弁護と責任転嫁ばかりだっただがや」
そうしたことに終始したというのだ。
「自分のあったことは必然性があった、連絡不備だったとか言うばかりだっただぎゃ」
「しかしその実はですね」
「それは」
「来いと言ったら忙しいと言って来なくて後は他のことで悩んでいたと嘘を言っただがや」
坂口は過去を思いだして吐き捨てる様に述べた。
「何日もかかる掃除を勝手に今日中に終わらせると言いだして止めても続けてかえって場を滅茶苦茶にして逃げたこともあっただがや」
「本当に何も出来なかったのですね」
「そこまで酷いとは」
「何といいますか」
「そうしたことばかりだったのでぎゃ」
それでというのだ。
「皆見放しただがや」
「そこまで酷くて無反省では」
「もうどうしようもないですね」
「嘘を言って責任転嫁までとは」
「成長する筈がないですね」
「やること為すこと出鱈目の極みだっただがや」
坂口はまたしても吐き捨てる様に言った。
「それで他人に言うことはいっちょまえだっただがや」
「責任転嫁する際にですか」
「それでは誰からも見捨てられますね」
「そして嫌われますね」
「そうなりますね」
「わしにも心を広く持ちましょうと言っただがや」
坂口の顔に怒気が宿った、そのうえでの言葉だ。
「あまりにも酷くて怒った時のことだがや」
「それでその言葉は」
「流石にないですね」
「幾ら何でも酷過ぎます」
「本当に全く反省しない奴の言うことですね」
「思わず手が出かけただがや」
殴るところだったというのだ。
「まことに」
「よくそれで殴りませんでしたね」
「私なら手が出ています」
「僕も流石に」
紅美と王が言ってきた。
「その様な行いを怒ってその言葉は」
「切れてしまいます」
「切れずにその時で見捨てただがや」
そうなったとだ、坂口は二人に話した。
「そして部活も勝手に辞めてだがや」
「家も出てですね」
「中学を出てチンピラ達の手下ですか」
「仕事にも就かずに」
「そのうちチンピラ達にも見捨てられるだがや」
坂口にはもう未来が見えていた、そのうえでの言葉だ。
ページ上へ戻る