八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十四話 結核でその十三
「それでね」
「地震が多くて」
「大地震も起こって」
「安政、幕末よね」
「そう、安政の大獄のね」
同じ年号の頃のことだ。
「その頃に起こったんだ」
「そうだったの」
「この大地震で藩主徳川斉昭さんの側近が死んだんだよ」
「地震でなの」
「藤田東湖さんがね」
まさにこの人がだ。
「物凄く頼りになるブレーンだったのに」
「地震で死んだの」
「それでその後にね」
「安政の大獄ね」
「それが起こって」
大老井伊直弼が起こしたそれだ、本当に嫌な事件だ。
「水戸藩は集中攻撃を受けて」
「それでだったの」
「斉昭さんは蟄居させられて」
これでほぼ完全に失脚した。
「そしてね」
「水戸藩の人達も沢山殺されたのね」
「うん、第一の攻撃目標だったから」
幕府というか井伊直弼のだ。
「かなりやられて大獄の後も」
「内輪揉めが続いたのね」
「天下どころか藩の中で揉めに揉めて」
果てしなく血生臭い殺し合いを続けてだ。
「それでね」
「誰もいなくなったのね」
「勤皇とか佐幕とか開国とか攘夷とか」
「そうは言っていても」
「それどころじゃなかったんだ」
水戸藩の中ではだ。
「維新まで殺し合って」
「それでなのね」
「そう、誰もいなくなったんだ」
「馬鹿な話ね」
「ライブでも水戸藩は歌わないよね」
「誰もなってないわね」
実際にという返事だった。
「軽音楽部でもね、それで読書部でも」
「水戸藩の本は、だよね」
「龍馬さんとか晋作さんとか新選組とか」
「そんな人達だよね」
「水戸藩はね」
どうしてもというのだ。
「ないわ」
「そうだよね」
「けれど幕末の火付け役なのよね」
「水戸学もかなり影響を与えているしね」
「それなのに」
「幕末の主役になれなかったんだ」
なる筈だったのにだ。
「これまで話した理由でね」
「内輪揉めばかりで」
「人がいなくなってね」
「地震から躓いて」
「そうだったんだ、地震はね」
僕はこの忌まわしい災害についても思った。
「本当に迷惑だよ」
「起こっていいことないわね」
「ないよ、あんなの」
心から言えた、このことは。
「絶対にね」
「そうよね」
「実際日本ってやたら地震起こって」
「その度によね」
「大変なことになってるから」
ものの見事に全土で起こるから余計に嫌だ。
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