夢幻水滸伝
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第九十九話 中原の者達その十
「どうにもならんな」
「善政も然りですね」
「そやな、この世界を救うことや」
紅美は莫の言葉にその通りだと返した。
「それもまた」
「このことは間違いないかと」
「そういうことやな」
「そしてです」
莫はさらに話した。
「民を餓えや貧しさから救えば」
「それこそまさに人と国が救われて」
「世界が救われる」
「そういうことになります」
「この世界もそこは同じってことやな」
陳の口調もしみじみとしたものになっていた。
「人も国も豊かになればな」
「救われます」
「そこに環境もやね」
緑麗はこのことも加えた。
「最近我が国でも真剣に取り組んでるけど」
「それは当然でし」
郁が緑麗に強い声で応えた。
「砂漠ばかりだと暮らしていけへんですし」
「そこはほんまやね」
「砂漠よりも草木ですしよ」
「そやから環境も絶対やね」
「植林とか水質保全はですし」
郁はさらに言った。
「忘れたら駄目ですし」
「ほんまにそやね」
「環境対策もですし」
「世界を救うことやね」
「そうですし」
「真の善政は世界を救う」
金の言葉には心が篭っていた。
「真理やな」
「その真理を実現させるでしよ」
郁はさらに言った。
「この世界においてはですし」
「戦だけやないな」
「僕ちん達はそうですし」
「ほんまにな、ただな」
金は首を傾げさせつつ郁にこう言葉を返した。
「ほんまにこの世界を崩壊させるみたいな脅威はな」
「それが何か、ですしな」
「全くわかってへんからな、おらは地震か侵略者かって思ってるけど」
「大体そんなものですしな」
「果たして具体的には何か」
「それがわからないですしな」
「それでどうかって思ってるわ」
どうしてもというのだ。
「はよわかりたいわ」
「その気持ちはわかるですしが」
それでもとだ、郁は金に蟹のその目を伏せ気味にさせて述べた。
「しかし」
「焦りは禁物かいな」
「本も焦って読むと中身がわからないですし」
学者としてだ、郁は金に話した。
「だからですし」
「焦らんとやな」
「見ていくことですし」
このことが大事だというのだ。
「調べて」
「そういうことか」
「僕ちんも巨人が怪しいと思っているですしが」
それでもとだ、郁は金に眉を曇らせて話した。
「腰を据えてですし」
「見ていくべきか」
「そして考えていくべきですし」
こう言うのだった。
「見極めて退治ですし、例えば隕石が落ちてきても」
「隕石なら」
それならとだ、莫が述べた。
「こちらも流星の術や爆炎の術を出して」
「そしてですしな」
「相殺も出来ます」
「僕ちん達が総出でそうした術を浴びせればですし」
「隕石も粉々に、消し去る位に出来ますね」
「それで難を逃れられるでし」
それが可能だというのだ。
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