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夢幻水滸伝

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第九十九話 中原の者達その九

「広島、九州もだがや」
「そちらも方言もないですね」
「そうだがや、わしは少数派だぎゃ」
 言葉という意味ではというのだ。
「名古屋弁だからだぎゃ」
「それは別に気にせんでもええんちゃいます?」
 緑麗も関西弁だった。
「それは」
「まあ大したことではないだがや」
「左様ですね」
「ドラゴンズの聖跡そして何よりもこの世界の危機よりも」
「大したことではないですね」
「そうなるだがや」
 まさにと言うのだった。
「わしにしても」
「左様ですね」
「そうだがや、若し平城京に出てきたら」
「平城京の素晴らしいものが壊滅ですし」
 その時代を想像してだ、郁は仰天し普段は赤い蟹の甲羅が奇麗なコバルトブルーつまり真っ青になった。
「この正倉院のものも」
「興福寺の八部衆の像もだがや」
「そうなっては終わりですし」
 さらに言う郁だった。
「何とかしないと駄目ですし」
「そうだがや」
「巨人が出た時は」
 郁は意を決して言った。
「僕も出るですし」
「郁は何だかんだで戦場に出るな」
 王はこのことを指摘した。
「臆病な様で」
「あの、わたくしは実際に」
 莫は気弱そうに言ってきた。
「戦は」
「そういう自分も結構戦場では勇敢やな」
「戦は得意でないですが」
「術で戦ってるやろ」
「それ位は出来ますが」
 しかしというのだ。
「戦はどうも」
「商人やからか」
「商売や経済の方が」
 そちらの政策などを考え行う方がというのだ。
「ずっとです」
「ええんか」
「はい」
 実際にというのだ。
「わたくしは」
「そうやねんな」
「はい、そして」
「そうしてかいな」
「国や民を豊かにする方がです」
「自分の本分やな」
「そうです」
 こう王に言うのだった。
「正直言いまして」
「商人やからな」
「商人はやはりです」
「戦よりもな」
「そちらが本分ですね」
「それはな」
 その通りだとだ、王も答えた。
「実際にやな」
「ですから」
「そこは当然やな」
「巨人の相手は術で出来ますが」
 実は莫も戦の場で多くの巨人達を倒してきている、戦いに使う神具は持っていないが術と持ち前の機転を活かして戦って倒してきたのだ。
 それでもとだ、彼は言うのだ。
「やはり本分はですね」
「僕の言う通りにやな」
「商売や経済ですね」
 そちらの方だというのだ。
「ほんまに」
「そやな」
「結局政をせんと」
 義賊であるが紅美もわかっていることだった。 
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