夢幻水滸伝
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第九十九話 中原の者達その三
「中々強くならない時もありますね」
「それが今の中日だがや」
「低迷期ですね」
「そうだがや、それでだがや」
「今は苦しい思いをしておられますか」
「久し振りに日本一になったと思えば」
それがというのだ。
「ずっと低迷だがや」
「お話を聞きますと」
魚、鯉の頭をした者が述べた。着ている服は中国の唐代の仏教の僧侶のものだ。人進星茅玄水である。中国海南省出身で職業はプリースト、持っている神具は味方の傷や状態異常を回復させるだけでなく投げれば攻撃にも使える太陽針だ。
「フロントが悪いのですね」
「その通りだがや」
「名監督を退任させた」
「まあそれからその監督さんがGMになっただぎゃが」
「どうにもですね」
「向かなかっただぎゃか?」
坂口は茅に微妙な顔で述べた。
「そっちには」
「監督には向いていても」
「名選手でもあっただぎゃが」
「フロントの人としては」
「そうかも知れないだがや」
「そうですか、どうもフロントは政府で」
ここで茅は腕を組んでこうも言った。
「そしてです」
「チームは軍隊だがや」
「そうなりますね」
「そう考えるとわし等がしっかりすとだぎゃ」
「軍も強くなる」
「そうなるだがや」
まさにというのだ。
「わしもドラゴンズからわかっただぎゃ」
「起きた世界のことから」
「例えば銭ばかり使ってもだぎゃ」
坂口は今度はこんなことを言った。
「一時は強くなってもだがや」
「確かな強さにならないと」
「そうだがや、人材を育ててしっかりした装備や仕組みを整える」
この二つがというのだ。
「大事だがや」
「下手にお金を使っても」
「それでもだがや」
「本当の意味で強くならないですか」
「そうだがや」
まさにというのだ。
「大金あっても使い方次第だがや」
「深いお言葉ですね」
「しかしこれはおみゃあさん達の棟梁も二人も言ってるだぎゃな」
坂口はここで今は二人で正倉院の中のものを見回っている羅と施を見た、そのうえで茅に聞き返した。
「そうだぎゃな」
「お金は大事だといつも」
「それだぎゃ」
「お金があっても使い方次第ですね」
「例えば巨人だぎゃ」
坂口は自分達の世界で悪逆非道の限りを尽くす日本いや自分達が起きている世界での忌まわしい邪悪の象徴であるこのチームの名前を出した。
「あそこみたいな金の使い方をするとだぎゃ」
「育成を忘れて他の選手から名選手を掠め取る」
こう言ったのは紅美である。
「設備投資や理論、戦術戦略の研究もおろそかな様ですし」
「その時は強くてもだがや」
「本当の力にはならない」
「一時のものだがや」
「だからよくないのですね」
「そんなところは銭がなくなると」
「それで終わりですね」
「そうだがや」
そうなってしまうというのだ。
「銭は何時までもあるか」
「そうはいかないですね」
「後で後悔するだがや」
銭、それがなくなってだ。
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