八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三百三十三話 池田屋騒動その二
「その曲も後で演奏するから」
「それじゃあね」
「聴いてね」
「じゃあね、しかし幕末ライブとか」
「斬新でしょ」
「よくそんなの考えついたね」
僕はニキータさんに話した。
「発想としてセンスを感じるよ」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「僕としては伊藤博文さんの曲も」
「明治の人じゃない」
「いや、あの人も志士だったから」
吉田松陰さんの弟子だった。
「それでね」
「伊藤博文さんの曲もなのね」
「欲しいけれど」
「あの人の曲はね」
どうかというのだった。
「ないわよ」
「そうなんだ」
「だって明治の人だから」
こちらで有名だからだというのだ。
「それでね」
「作られなかったんだ」
「ええ、西郷さん大久保さんはあるけれど」
「その人達は幕末も活躍してるしね」
明治政府の重鎮でもあってだ。
「それでね」
「曲も作ったんだ」
「そうだけれど」
「伊藤さんはないんだ」
「そうなの、それにしても義和って」
「伊藤さん好きだよ」
自分からこのことを認めた。
「偉人だと思うよ」
「明治の頃のね」
「あんな凄い政治家はそういなかったよ」
日本の歴史の中でもだ。
「東洋のビスマルクとか言われてご自身もビスマルクを意識していたみたいだけれど」
「むしろっていうのね」
「うん、ビスマルク以上にね」
僕が思うにだ。
「凄い人だったと思うよ」
「ビスマルクよりもなのね」
「頭の柔らかさが違うから」
何しろ江戸時代の人が近代政府を立ち上げてそこから政党政治まで考えていたのだ、とんでもない頭の柔軟さだ。
「ビスマルクって違うよね」
「頑固ってイメージあるわね」
「鉄血宰相っていうしね」
断固たる意志が感じられるにしてもだ。
「頭は固そうだけれど」
「伊藤さんは柔軟ね」
「確かに女好きだったけれど」
それを明治帝に窘められてもいる。
「それでもね」
「そうした欠点を補って余りある」
「凄い業績を残した人だから」
「義和も好きなのね」
「そうなんだ、だからね」
「そうなのね、けれど幕末は」
この時代ではというのだ。
「やっぱりね」
「他の人だね」
「長州の人なら」
伊藤さんのいたこの藩ならだ。
「吉田松陰さんに」
「まずはその人だね」
「高杉晋作さんと桂小五郎さんでしょ」
「そのお二人だね」
「もうこの人達外せないから」
「それはそうだね」
「ちなみに個人で曲が出来たのは」
作られたそれはというと。
ページ上へ戻る