八条学園騒動記
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第五百十八話 齧歯類の話からその十二
「それで人口半減とか」
「そう、それはね」
「なかったね」
「これはね」
パレアナは何故革命でそこまで人口が減るのかも話した。
「戸籍がね」
「それの問題だね」
「ええ、昔は人口統計もね」
戸籍によるそれもだ、欧州ではそれぞれの教会の信者の数から人口がどれだけのものかを計算していた。
「凄い大変だったから」
「今だったらすぐ出るけれどね」
「細かいところまでね」
人口統計の一桁までだ。
「どの国でもね」
「マウリアも最近はそうなったね」
「アウトカースト層も人口に入れる様になってね」
これはマウリアの事情、アウトカースト層への宗教的偏見から除外されていたのだ。これはこの国の事情というものだ。
「それでよ」
「はっきりわかる様になったね」
「そう、けれどね」
それがというのだ。
「昔はね」
「人口統計も大変で」
「ちょっとしたことでよ」
「それが出来なくなって」
「正確な人口がわからなくなって」
戦乱の中で戸籍を失ったりしてだ。
「だから人口が極端に減ったってね」
「思われていたんだね」
「幾ら戦争が激しくても」
それでもというのだ。
「人工が半分以下とか最悪六分の一になるとか」
「やっぱりないんだ」
「ないわよ」
三国時代では魏呉蜀合わせて一千万程度だった、だが後漢の戦乱までは六千万の人口を誇っていたのだ。
「戸籍がね」
「失われて」
「そこから統一されなくてお互いに争ってばかりで」
「戦争に力を使って正確な人口統計どころじゃなくなって」
「それでよ」
そのせいでというのだ。
「人口が減った様に思われるだけよ」
「そういうことだね」
「確かに戦争で人は死ぬけれど」
このことは事実でもというのだ。
「そこまで減らないから」
「現実としては」
「そう、だから統一されて正確な人口を統計したら」
その時はとだ、パレアナはジミーに話した。
「何と四倍以上になったとかね」
「あったんだ」
「そうなのよ」
南北朝時代から隋に統一された時のことだ、北朝と南朝を合わせて千百万程度の人口が何と統計で四千六百万にまで一気に増えたのだ。
「中には三百万の人口が一万数千までとか」
「それ絶対に有り得ないよね」
「これは明代末期だけれど」
張献忠という男が四川省を制圧しそこで殺戮の限りを尽くした時だ。
「これもね」
「絶対に嘘だね」
「だから戸籍の問題だから」
これを強調するパレアナだった。
「そこは注意しないとね」
「そうだよね」
「ええ、中国の本を読んでいたらよく出るけれど」
人口の話もだ。
「ちゃんとそうしたこともわからないと」
「駄目だね」
「仙人とかのお話以外にもね」
「仙人でもそんなに殺せないしね」
笑ってだ、ジミーはこうも言った。
「やっぱり」
「仙人同士が戦ってもね」
「そうだよね」
ジミーはパレアナに笑って話した、そしてここでパレアナはジミーに対してあらためて提案するのだった。その提案はジミーにとって面白いものだった。
齧歯類の話から 完
2019・4・2
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