八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十二話 好漢は心からその四
「キジムナーが取ってるんだよな」
「キジムナーの取り分だな」
「それだよな」
「それで片目ないな」
「そういうことだよな」
「要するにな」
「そう思うと」
本当にだ。
「普通に妖怪いるな、この学園」
「そうだよな」
「見えなくてもな」
「いるの間違いないな」
「他にも校門に口裂け女いるんだよな」
「テケテケ這ってたりしてな」
「トイレにも花子さんいるしな」
もうありとあらゆる妖怪達がいる、この学園の中には。
「狐も狸も貉もいてな」
「あれっ、貉って何だ?」
ここでこの生きものについての疑問が出て来た。
「一体」
「あれ穴熊だぜ」
すぐに返事がきた。
「穴熊をそう呼ぶんだよ」
「そうだったのかよ」
「ああ、狸って自分で穴掘れないらしくてな」
どうもそうした生きものらしい、イヌ科だけれどそこは犬と違うみたいだ。
「それで穴熊の穴に住んでるんだよ」
「居候か」
「ああ、それでな」
穴熊はというのだ。
「穴熊は狸と似てるだろ」
「そういえばそっくりだよな」
「それで同じ穴に住んでいたりしてな」
「同じ穴の貉か」
「そうも言われてるしな」
僕はこの話を知っていた、この言葉の起源だ。
「それで貉もな」
「化けるのか」
「狐や狸みたいにな」
「そうなんだな」
「そういうことなんだよ」
「そうそう、昔狸と穴熊の区別ってつきにくくて」
僕もこの話に加わった。
「それで同じ穴の貉っていう言葉もあって」
「実は違う種類の生きものでもな」
「そう呼ばれていてね」
それでだ。
「一緒に思われていて」
「化けることもな」
「出来るって言われていたんだよね」
「それで実際に化けるんだよな」
「日本ではね」
他の国はどうか知らない、中国では狸というけれど実は山猫でこの国ではとにかく狐が強いらしい。そしてこの学園にも中国からの狐が多いらしい。
「そうなんだよ」
「そうだよな」
「そう、そしてね」
僕はさらに話した。
「狐七化け、狸八化け、貉九化けともいうし」
「貉が一番か」
「九化けっていうとな」
「そうなるよな」
「そうだね、貉がね」
その実はだ。
「一番化けるのが上手みたいだね」
「狸と区別つきにくくてもか」
「それでもか」
「貉が一番か」
「一番化けるの上手か」
「そうもいうしね、ただね」
この七とか八とか九とかいう言葉があってもだ。
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