八条学園騒動記
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第五百十八話 齧歯類の話からその三
「まるで」
「というかあの人がそう呼ばれるのは」
「その妲己からだね」
「別に好色でも残虐でもないけれど」
妲己と違ってだ。
「それでも頭が切れて」
「妖術を使うみたいで」
「それでなのよ」
「そう呼ばれてるんだ」
「あと日本にもこの狐あるし」
妲己が日本に逃れてきたと言われている。
「それで日本でね」
「言われだしたんだ」
「九尾の狐ってね」
「そうだったんだ」
「それでその狐の仙人が」
「悪役なんだ」
「そうなの」
それも物語上最大の悪役の一人である。
「紂王と並んでね」
「紂王は僕も知ってるよ」
「酷い暴君よね」
「酒好きで女好きで残虐で」
「そうなの、元々は名君だったけれど」
史実でも頭脳明晰で怪力の持ち主だったとある、つまり個人としての能力はかなり高いものであったのだ。
「それがね」
「妲己に操られて」
「いい面がひっくり返ってね」
「そのまま悪い面になって」
「それでなのよ」
「暴君になったんだ」
「だから最大の悪役でも第一はね」
それはというと。
「やっぱり妲己よ」
「紂王よりも妲己だね」
「ええ、女媧の命令でそうしたけれど」
紂王が女媧の像を見て淫らな詩を作ったのがそもそものはじまりだ、紂王は元々好色が過ぎる人物だったのだ。
「それでもね」
「やり過ぎだったんだね」
「元々性根が悪くて」
それでだったのだ。
「悪事の限りを尽くしたのよ」
「女媧が言ったこと以上のことを」
「女媧は殷を滅ぼせとは言ったわ」
紂王の行いに怒ってだ。
「けれど残虐な振る舞いとかはね」
「命じていなかったんだ」
「女媧は残虐でも邪悪でもなかったから」
「けれど妲己はそうしたことをしたんだね」
「そう、まあそんなの部下にしていた女媧の責任でしょうけれど」
管理責任、それを問えばだ。
「やっぱり封神演義第一の悪役はね」
「妲己だね」
「九尾の狐なのよ」
「そうなるんだね」
「何かこっちでも栗鼠は出ても」
「扱い小さそうだね」
「出たかしら、だしね」
読んだパレアナにしてもだ。
「どうしてもね」
「栗鼠って中華ファンタジーじゃ立場弱いのかも知れないね」
「実際に弱いでしょうね」
「やっぱりそうなんだ」
「お猿さんとか犬とかはよく出て」
「虎や龍は特にだね」
「あと鳳凰や麒麟も」
こうした生きものや神獣はというのだ。
「常連だけれど、あとお猿さんね」
「その孫悟空だね」
「封神演義でもよ」
こちらでもというのだ。
「出て来るから」
「生きものから成る仙人かな」
「そうなの、物語終盤で出て来るの」
殷がいよいよ危機に陥り周を退ける人材を呼び集めたその時にやって来た者達のうちの一人にいたのだ。
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