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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十一話 現在進行形の美しさその九

「大変だったみたいよ」
「そうだったんだ、けれどな」
「生きていてっていうのね」
「何よりだな」
「ひいお祖父ちゃんも言ってたわ、私が子供の頃に死んだけれど」
「もうお亡くなりになってるか」
「ええ、けれど子供の頃の私に言ったのよ」
 その言葉とをいうのだ。
「戦争のこともね」
「そうだったんだね」
「それでね」
 僕にさらに話してくれた。
「柴大将が自殺されたって日本に帰って聞いて」
 そしてというのだ。
「かなりショック受けたらしいのよ」
「地元の英雄だったんだね」
「ひいお祖父ちゃんにとってもね」
「だからだね」
「自分もって思ったらしいけれど」
「自決はだね」
「思い止まって」
 そうしてというのだ。
「生きていって、私にもお話してくれたのよ」
「そうしたんだね」
「ええ、まあこの女子隊は」
 雪女の娘は僕達にあらためて話してくれた。
「こうしたお話もあってね」
「あんたにとって特別だな」
「お化け屋敷だから雪女だけれど」
 見れば元々お肌が白い娘みたいだ、このこともあって選ばれたのだろう。
「それでもね」
「女子隊になれて嬉しいんだな」
「かなりね、それじゃあさらにね」
「ああ、この中巡らせてもらうな」
「それじゃあね」
 雪女だけれど随分愛嬌のある顔でだった、雪女の娘は僕達に笑って言ってくれた。僕達はそれからもお化け屋敷の中を巡ってだった。
 最後にお化け屋敷を出た、すると友奈さんは。
 恰好いい、背は一七四位で黒の癖毛で細目に細面の黒の詰襟の学生服の子と一緒だった。そこで僕にこう言ってきた。
「今言うけれど」
「何かな」
「この人は交際相手」
 同じ受付の席に座っているその人を見てからの言葉だった。
「今そうしてるの」
「そうだったんだ」
「そう、文化祭の実行委員を一緒にしてて」
「友奈さん実行委員だったんだ」
「女子の。そして」
 実行委員をやっていく中でというのだ。
「今はこうして」
「交際しているんだ」
「そうなったの」
「ええと、何ていうかね」
 その彼も僕に言ってきた、少し苦笑いになって。
「もう説明受けたけれど」
「君がだね」
「友奈さんと一緒にね」
「文化祭の実行委員やってて」
「J組のね」
 二年J組のというのだ。
「その縁でね」
「交際しはじめたんだ」
「僕の方から言って」
 それでというのだ。
「友奈さんが受けてくれたんだ」
「そうなんだね」
「うん、宜しくね」
「名前何ていうのかな」
 僕の方から彼に尋ねた。
「それで」
「坂本和馬っていうんだ」
「坂本君っていうんだ」
「そうなんだ、高知生まれで剣道部でね」
「龍馬さん」
 友奈さんはぽつりと言った。 
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