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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十一話 現在進行形の美しさその八

「日本が負けたって知って」
「おい、戊辰戦争から二次大戦までか」
「ずっと生きてたのよ」
「随分長生きしたんだな」
「あっ、そう言うけれど」
 明治維新から昭和二十年までだ、確かに長いけれどだ。
「八十年程だから」
「ああ、それ位か」
「明治が四十五年だね」
「そうだったな」
「大正が十五年で」
「敗戦は昭和二十年だからな」
「八十年だから」
「有り得るか」
 小谷君は僕のその言葉に頷いた。
「そういえば」
「そうだよ」
「そうか、案外幕末から昭和って離れてないんだな」
「遠い昔の様でね」
「そうじゃないんだな」
「昭和五十年代でもまだ明治の人いたし」
「結構時代は離れてないんだな」
 小谷君は僕の話を聞いてしみじみとした口調になった。
「離れている様で」
「そうだね」
「幕末は遠い様でな」
「結構近い時代かもね」
 時代という区分ではだ。
「今から」
「そんな昔じゃないか」
「案外ね、この女子隊の中にも」
 僕は雪女の娘を見つつさらに話した。
「同志社大学創設者の奥さんもいたし」
「ああ、新島襄さんのか」
「あの人のね」
「そう思うと本当に時代が近いな」
「案外ね」
「幕末、維新ってな」
「維新から敗戦まで八十年だから」
 本当にそれだけだ。
「人の一生位だよ」
「その時から今までも大体それ位になってきたな」
「人の一生位だな」
「終戦の年に生まれた人が」
 その人がだ。
「今はお爺さんお婆さんだしね」
「そんな頃だな」
「まあ次第に戦争を知ってる人はいなくなってるけれど」
 第二次世界大戦、柴五郎さんが敗戦を見て自決したその戦争もだ。
「それでもね」
「あの戦争から今もな」
「あまり離れてないよ」
「遠い歴史みたいでな」
「それでもね」
「そうなんだな」
「ちなみに私のひいお祖父ちゃんも戦争行ったから」
 また雪女の娘が言ってきた。
「死ぬ気で帰ってきたわよ」
「戦死しなかったんだな」
「幸いね」
「それはよかったな」
「けれど戦争行ったことはね」
 このこと自体はというのだ。
「事実でね」
「それでか」
「そう、戦争行ったことはね」
 このこと自体はというのだ。
「事実よ」
「そのこと自体はか」
「海軍で軍艦に乗っていて」
「そこで死にそうになったんだな」
「乗っていた船が沈められて」
 あの戦争ではよくある話だ、陸軍も海軍も多くの人が戦死している。
「それでね」
「成程な」
「そんな風で」
 それでというのだ。 
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