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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十一話 現在進行形の美しさその七

「私は好きよ」
「義和団事件の時の人だね」
 柴五郎と聞いてだ、僕はすぐにわかった。
「あの時日本軍を指揮していた」
「凄く立派な人だったのよ」
「そうだったね」
 義和団事件の時日本軍の規律正しさが注目された、その日本軍の指揮官が当時中佐だったこの人だったのだ。
「会津藩だから逆賊だけれど」
「それでも最後は大将にまでなって」
「義和団事件ではね」
「大活躍したのよ」
 義和団事件を鎮圧して多くの北京にいた日本人や他の人達を守ってくれた、当時の清朝や中国の状況は複雑だけれど自国民を守ってくれたことは素直に称賛すべきだと思う。
「そうしてね」
「日本の名を高めて」
「立派な人だったからね」
「俺もその人は知ってるよ」
 小谷君も言ってきた。
「その義和団事件のことでな」
「そうなんだ」
「ああ、凄い人だったってな」
「確かに凄い人だったよね」
「日本軍って強くて軍律が厳しくてな」
 もうこの二つが伝説になっている、そうした意味でつくづくとんでもない軍隊だったと思う。これは陸軍も海軍も同じだった。
「その中でも特にな」
「強くて規律を維持したからね」
「そりゃ大将までなるな」
「そうだよね」
 僕は小谷君の言葉に頷いた。
「やっぱり」
「ああ、しかしな」
「しかし?」
「大将ってな」
 小谷君は軍隊のこの階級の話をさらにした。
「そうそうなれないよな」
「うん、そもそも将官自体がね」
 少将以上はだ。
「なれなかったよ」
「そうそうな」
「士官学校を出ても」
 陸軍士官学校をだ。
「大佐までなれても」
「そこからはな」
「中々なれなかったんだよ」
 陸軍大学を出てもだ、このことは海軍も同じだった。
「しかも大将になるとね」
「余計にな」
「なりにくかったよ」
「そうだったな」
「もうそれこそね」
 陸軍大将になることはだ。
「滅多なことじゃなれなかったよ」
「有能とみなされないとな」
「その有能の基準は色々だけれど」
 例えば東条英機は事務処理能力だ、この人については色々言われているけれど調べていると官僚型軍人としては有能で清廉潔白な人だった。だから大将にまでなれたのだ。
「そうそうね」
「なれないからな」
「柴五郎って人が優秀だったことはね」
「事実だよな」
「そうだね」
「その人がね」 
 雪女の娘がまた僕達に言ってきた。
「会津出身なのよ」
「そうだよな」
「そう、落城を見て」
 会津若松城のそれをだ。
「そして陸軍に入って」
「義和団事件で活躍したんだな」
「そうなのよ、ただね」
「ただ、どうしたんだよ」
「敗戦見て」
「第二次世界大戦か」
「自決したのよね」
 雪女の娘はここで悲しい顔になって小谷君に話した。 
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