夢幻水滸伝
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第九十六話 仁王像その六
「我々と比べると」
「人口、総生産、軍事力、技術とな」
「あらゆる分野で、ですね」
「ロシアとインドの枢軸はだ」
「我々に劣る形になりますね」
「太平洋とサハラ以南のアフリカが統一されるとな」
その時はというのだ。
「この世界のおよそ七割以上だ」
「そこまでになりますと」
「如何にロシアとインドの枢軸でもだ」
「圧倒していますね」
「勝てない筈がない」
室生はバイテに落ち着いた声で述べた。
「確実にだ」
「我々が勝ちますね」
「油断せず圧倒的な国力で攻めれば」
その時はというのだ。
「勝つのは我々だ」
「左様ですね」
「そして世界を統一することになるが」
欧州も手に入れてというのだ。
「そしてだ」
「世界を救う」
「そうなる、しかしその前にな」
「やはりですね」
「ロシアとインドだな」
統一の後でとだ、室生は述べた。
「何といっても」
「あの二国の行いを見ていますと」
かなり懐疑的にだ、ハウオファは述べた。
「まことに世界を救う星の方々か」
「疑問に思うか」
「はい」
どうにもと言うのだった。
「敵には一切容赦しないので」
「その苛烈さがだな」
「世界を救う方々なのかと」
「私もそう思う時がある」
室生もハウオファの意見を否定しなかった、それでこう言うのだった。
「実際にな、だが」
「それでもですか」
「領民には善政を敷き法は厳正だ」
正しい政を行っているというのだ。
「だからだ」
「そうしたところを見ればですか」
「女帝も雷帝も悪ではない」
「むしろ善ですか」
「不必要な虐殺は絶対にしない」
室井はこのことも指摘した。
「遊びで人を殺したり害したりすることもな」
「そう言われると確かに」
アルフィアンも室生のその指摘に頷いた。
「あの方々は敵には一切容赦せず冷酷な一面が強いですが」
「無道ではないな」
「はい、確かに」
「そうしたことを見るとだ」
「お二方もですか」
「この世界を救う星の者だ」
「それに他なりませんか」
「私はそう思う、そしてだ」
室生はアルフィアンそして南洋の他の人の星の者達にさらに話した。
「そうした者達もだ」
「星の中にいるということですか」
「十人十色という」
「人それぞれですね」
「そういうことだ、正義も正義の行い方も一つではない」
こちらもそれぞれだというのだ。
「女帝と雷帝には彼等の正義があるのだ」
「その正義に従い」
バイテは難しい顔で述べた。
「あの様にしていますか」
「そういうことだ、我々太平洋の者達は寛容で敵は悪質な賊でもない限り降れば許す」
実際にどの勢力もそうしている、山賊や海賊でも大して罪を犯していない者達は降れば許されて受け入れられるのが太平洋そしてアフリカだ。
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