夢幻水滸伝
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第九十六話 仁王像その七
「それも正しいが」
「敵、賊ならば殲滅するのもまた」
「正しいとなる」
「そうなのですか」
「我々の考え方ややり方だけが正義ではない」
「まさに様々ですね」
「我々にしてもそうではないか」
室生はバイテ達にこうも話した。
「様々な個性の持ち主がいるな」
「はい、言われてみますと」
アユは室生のその言葉に頷いた。
「そうですね」
「それも全員と言っていいな」
「強烈な個性の持ち主ばかりですね」
「我々もそうだ、そして女帝と雷帝もな」
この二人もというのだ。
「強烈な個性の持ち主なのだ」
「その個性があの苛烈さと冷酷さですか」
「そうなる、だが」
「だが、とは」
「女帝は起きた世界では全く性格が違う」
エカチェリーナ、彼女はというのだ。
「私は彼女と同じ学年だが」
「あっ、そうみたいですね」
モレイは室生のエカチェリーナの話にこう応えた。
「どうやら」
「それほんまか」
コープチッティはモレイに顔を向けてすぐに尋ねた。
「あの人わし等が起きてる世界ではどんな人や」
「何でも温厚で優しく上品で」
「上品なのはわかるが」
「先の二つがですね」
「四十万の敵を生き埋めにした人やぞ」
「ご自身の攻撃で降伏を示した敵を消し去る等」
「消し去ったのは雷帝ちゃうかったか?」
コープチッティはそちらについては彼ではないかと指摘した。
「ちゃうかったか?」
「いえ、あの方もされてます」
「そうやったか」
「はい、とかくお二人はです」
「敵には容赦せんか」
「そうした方々で」
「女帝もやな」
伊達に女帝ではなく氷帝と言われるわけではない、コープラッティは内心こうも思った。その外見や能力だけでなく性格からも氷帝と呼ばれているのだ。
「そうやねんな」
「はい、しかし」
「起きた世界ではか」
「一見近寄り難いですが」
それでもというのだ。
「そうした方だとか」
「想像出来んな」
「文学とバレエがお好きで」
「そういえばフィギュアか何ややってるんやったな」
リサールがこのことを言ってきた。
「そっちでは白銀の妖精とか言われてるんやったな」
「妖精、ですか」
カイはリサールのその言葉に驚愕の顔で応じた。
「それはまた」
「こっちの世界とは違ってな」
「圧政者とか独裁者ではなく」
「妖精や」
「想像出来ませんわの世界です」
「おいら博打の場以外では嘘吐かへんからな」
リサールはカイにこのことからも話した。
「そやからな」
「このことはですか」
「おいらの聞いた限りだとな」
「ほんまの話で」
「信じるか信じへんかは自分次第」
「そうですか」
「ああ、そうみたいだな」
「私も見てもそうだ、尚男子生徒からも人気は高いが」
しかしと言うのだった。
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