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夢幻水滸伝

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第九十六話 仁王像その四

「鎌倉武士がモデルになってるんでしたね」
「そうだ、像を彫るにあたってな」
「鎌倉武士はこれだけの身体を持っていた」
「そうなる」
「常に馬に乗って弓矢を放って」
 モレイも仁王像をあらためて見て述べた。
「戦の場に鎧兜を着て刀を振るって戦って」
「こうした体格になったのだ」
「そういうことですね」
「あれですね」
 カイもこう言った。
「戦場で鍛えられた本物ですね」
「まさにそうなる」
「本当に鍛えられた筋肉となると」
「こうなる、ヘラクレスの様にな」
「ヘラクレルの筋肉も」
 カイはギリシア芸術のヘラクレス像も思い出して述べた。
「見事ですが」
「この仁王像もな」
「躍動感があり」
 そしてというのだ。
「強さを感じます」
「そうだな、モデルになった鎌倉武士もわかる」
「そうした意味で見事な像ですね」
「この世界でもな」
「筋肉は憧れといいますが」
 ここでこう言ったのはグレイカスだった。
「僕達も今は」
「中々の体格になっているな」
「そうなんですよね、種族の違いがあっても」
「筋肉は出るな」
「はい、本当に」
「ゴーレムのおらにしても」 
 今度はハウオファが話した。
「筋肉は出ますし」
「この世界のゴーレムはそうだな」
「はい、ほんまに」
 こう室生に答えた。
「それがはっきりとです」
「鍛えれば鍛えるだけな」
「筋肉質の身体になります」
「我々は常に戦っている」 
 室生はこの現実を指摘した、この世界での自分達のそれを。
「ならだ」
「その中で、ですね」
「自然と鍛えられてだ」
 そうなってというのだ。
「逞しくなる」
「それがしもでござるな」
 モレイは室生に笑って話した、とはいっても声だけが笑っていて髑髏の顔では表情はどうにもわかりにくい。
「左様でござるな」
「そうだ、筋肉は見えずともだ」
 それでもというのだ。
「ついているのは事実だからな」
「その分強くなっているでござるか」
「そうなのだ」
 こうモレイに話す室生だった。
「鍛えられたものは嘘を吐かない」
「努力は」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「君もだ」
「強くなっているでござるな」
「そしてこれからもだ」
「強くなっていくのですか」
「そうだ」
「では何時か」
 楽しそうに笑ってだ、モレイは室生にこうも言った。
「それがしが室生殿を倒すことも」
「やってみるか」
「戦の時は」
「それがわしもですさかい」
 コープチッティも笑って室生に言った。 
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