八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十一話 現在進行形の美しさその一
第二百三十一話 現在進行形の美しさ
僕はマルヤムさんと話をしてから今度は二年J組の方に行った、そこではお化け屋敷をやっていた。
受付に友奈さんがいて僕を見て行ってきた。
「一人百円」
「百円なんだ」
「そう、百円払ったら」
それでというのだ。
「入られるから」
「そうなんだね」
「入る?」
僕の顔を見ていつもの調子で聞いてきた。
「それで」
「ううん、じゃあ後で誰かと一緒にね」
「入るの」
「そうしようかな」
「おい義和」
後ろから僕を呼ぶ声がした、振り向くとそこに中学二年の時に同じクラスだった小谷君がいた。背が高くて眼鏡をかけている。着ている制服は濃い青のブレザーとズボン、航空自衛隊の制服に似たそれだ。
「今からお化け屋敷入るのか」
「いや、誰かとね」
「一緒ならか」
「そう思ってるけれど」
「じゃあ俺と入るか」
「君と?」
「暫く振りに会ったしな」
僕に笑って言ってきた。
「これも縁だしな」
「それでなんだ」
「一緒に入るか?」
「何かお風呂に入るみたいな感じだね」
「おいおい、俺はホモじゃないぜ」
「女の子好きだよね」
「かなりな」
中学生時代はそれで有名だった、とはいっても彼女がいないのはそうした話が好き過ぎるからだと思う。女の子にどうかと思われてだ、その好みが。
「だからな」
「普通にだね」
「友達としてな」
その立場でというのだ。
「言ってるんだよ」
「そうだよね、やっぱり」
「男同士っていいのかよ」
小谷君は逆に疑問形の言葉で僕に聞いてきた。
「そもそも」
「そうした趣味の人もいるけれどね」
「他人の趣味はどうでもいいけれどな」
「君自身は、だよね」
「女の子が好きでな」
それでというのだ。
「付き合うならな」
「女の子だけだね」
「他はな」
つまり同性愛はというのだ。
「興味ないさ」
「そうだよね」
「だからな」
「今からだね」
「友達二人で入るか」
暫く振りに会ったこともあってというのだ。
「そうするか?」
「それじゃあね」
僕も頷いた、そしてだった。
二人でお化け屋敷に入った、ここで友奈さんがお金を払った僕達にこう言った。
「ちゃんと幕末だから」
「そうなんだ」
「幽霊が一杯出て来るけれど」
「その幽霊は」
「安政の大獄とか」
幕末の中でも嫌な事件の一つだ、大老井伊直弼が志士というか当時の幕府に邪魔だと思った人を多く粛清した事件だ。
「その時の幽霊が」
「吉田松陰さんとか?」
「そうした人は出ないけれど」
「他の人が出るんだ」
「幕末一の嫌われ者が」
「それでわかったよ」
安政の大獄で嫌われ者とくればだ。
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