八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十一話 現在進行形の美しさその二
「もうね」
「自業自得の結末だし皆乗り気で決めたから」
「友奈さんのクラスでもあの人嫌われてるんだね」
「滋賀の人もいなかったから」
クラスにというのだ。
「越前の人と茨城の人はいたから」
「それでだね」
「即座に決定」
「そういうことだね」
「他にも色々と」
「幽霊が出ているんだ」
「後は入ってのお楽しみ」
これが友奈さんの返事だった。
「では中に入って」
「じゃあね」
僕は友奈さんの言葉に頷いた、そうして小谷君と共にお化け屋敷の中に入ると早速襖から不気味な黒猫が見えていた。
その黒猫を見てだ、小谷君は言った。
「沖田総司のだよな」
「そうだね」
僕もその黒猫が何かわかった、それで小谷君に応えた。
「どう見ても」
「そうだよな」
「確か沖田総司は結核で」
当時は労咳といった。
「それを避ける為にね」
「黒猫傍に置いてたんだよな」
「当時迷信というか何かね、黒猫を傍に置いていたら」
「結核にいいって言われてたんだよな」
「実際は違うけれど」
そんなことはなくやっぱり薬が必要だった、薬が出る前は手術で肺を潰して結核の感染源を潰して難を逃れていたというから凄い。
「それでもね」
「沖田総司は黒猫を傍に置いてな」
「結核から逃れようとしたんだよね」
「けれどあれだよな」
本物そっくりというかポーの黒猫みたいな黒猫の模型を見つつの言葉だった。
「沖田総司しまいに黒猫に何か見てな」
「恐怖を感じたか何かで」
「斬ろうとしてな」
「斬れなくてね」
新選組でも天才と言われた人だったけれどだ。
「斬れないことを嘆いて死んだんだよ」
「その死の床から見てる黒猫か」
「そう思うと確かに怖いね」
「そうだよな」
「何かこうして見たら」
僕はその黒猫の模型を見たままさらに小谷君に話した。
「物凄く怖いね、この黒猫」
「佐賀の化け猫みたいだな」
「ああ、鍋島家の」
「それみたいだな」
「そっちもあったね、黒猫って」
言われてみればだ。
「あっちじゃ黒猫嫌ってたんだよね」
「そうみたいだな、実際に」
「僕は別の黒猫思い出したけれど」
「何だよ、その黒猫は」
「ポーのね」
小谷君にまさにその話をした。
「それを思い出したよ」
「ああ、あの黒猫か」
「うん、壁を崩したら」
ポーの作品はとにかく怖い、早過ぎた埋葬にしてもアッシャー家の崩壊にしてもだ。そしてこの黒猫もだ。
「殺した筈の黒猫がいたっていう」
「その作品俺も読んだよ」
「そうだったんだ」
「高一の時な」
つまり去年のことだ。
「奥さん殺してな」
「壁の中に埋めてね」
「それで、だったよな」
「あれは怖いよね」
「そっちもあったな」
実際にとだ、小谷君は僕に答えた。
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