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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十話 たけなわになってその十五

「何かになるから」
「そうでござるな」
「それでね」
「拙者もまた」
「努力すれば」
 それを行っていけばだ。
「何かになれるよ」
「だからでござるな」
「その考えは正しいよ」
「ならでござる」
「うん、努力していくね」
「そうしていくでござる」
 返事は一つだった。
「必ず」
「そうしていこうね」
「拙者は誓うでござるよ、アッラーに」
 自分の神にというのだ。
「龍馬さんみたいな人に吊り合う人になるでござる」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「龍馬さんも人間だったから」
 このこともだ、僕はマルヤムさんに話した。
「西郷さんもね」
「拙者達と同じ人間で」
「うん、アッラーじゃないね」
「それは絶対にでござる」
「そうだよね、人間だから」
「アッラーの前に等しい」
 イスラムの教えではそうなっている、偉大な神の前では人は小さい。そして等しいという考えなのだ。
「人間は小さなものでござる」
「そう、だからね」
「龍馬さんも人間でござるか」
「ペリでもジンでもないよ」
 僕は笑ってイスラムの天使や精霊の名前も出した。
「間違ってもね」
「そうでござるな」
「だからね」
「努力してもでござるな」
「同じ人間だってことはね」
 目指すその人がだ。
「覚えておいてもいいだろうね」
「そういうことでござるか」
「誰もが努力したら龍馬さんや西郷さんになれて」
 そして釣り合う人にもだ。
「そしてね」
「そしてとは」
「龍馬さんも西郷さんも努力してだから」
「努力してああなったでござるな」
「いや、この場合はね」
 僕はマルヤムさんにあらためて話した。
「努力している途中、人間一生努力だけれど」
「成長期でござるか」
「その時もいいと思うよ」
「魅力があるでござるか」
「そうした時もね」
「そうでござるか」
「だから」
 僕はあらためてだ、マルヤムさんに話した。
「色々見ていくべきだと思うよ」
「わかったでござる」
 マルヤムさんは僕に確かな顔で答えてくれた、その顔には何かしらの決意があった。そして僕はすぐにその決意の理由を知ることになった。


第二百三十話   完


                 2019・4・1 
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