ベル・クラネルが魔剣使いなのは間違っているだろうか
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17話
「それじゃあ、リリは無所属のサポーターじゃなくてファミリアに所属してるんだ」
「はい。リリはソーマ・ファミリアの一員です」
ダンジョンに向かいながら互いにお互いのことをはなしていた。
「へー、神ソーマの眷属なんだ」
「おや、ベル様は私たちのファミリアをご存知なのですね。あまり、知っている人はいないと思っていたのですが」
「まあ、僕もあまり詳しくは知らないけどお酒で有名だよね」
そんなことを話ながらダンジョンの入り口へと辿り着いた。
「さて、解放 咲刃十六夜」
ベルは魔剣を喚び出す。
「おお、ベル様は魔法をお持ちなのですね。武器を喚び出す魔法ですか?」
「えーと、まあそんなところかな。それより早く行こう」
ベルが喚び出した魔剣をリリは怪しい目付きで見ていた。
「ベル様はお強いんですね」
「ん?そうでもないよ」
「またまたご謙遜を」
ダンジョンに潜ってから二時間弱。七階層へと降りモンスターを狩りまくっていた。
「でも、普段よりモンスターが少ないような気がしたんだよね」
「う~ん。そうでしょうか?リリにはよくわかりませんがこれくらいが普通だと思いますよ」
ベルがモンスターを少なく感じるのも無理もなかった。なぜなら、サポーターであるリリがいることで足下や近くにモンスターの死骸がなく、何時もより戦いやすかったのだ。
「さーてと、片付けちゃいましょうか」
リリはナイフを取り出してモンスターの胸にある魔石を器用に取り除いた。
「リリルカさん、魔石の取り方上手だね」
「そんなことはないですよベル様。リリにはこれくらいしか取り柄がありませんから」
また1つまた1つと魔石を回収していく。
「ギャシャアアアアァァァァァァ!」
「な、まだあんなところにキラーアントがっ!」
「リリルカさんはそこを動かないで!」
ベルは魔剣に魔力を流し込む。すると刀身に何かが纏わりつき、それを放つ。
「ハアァ!」
「き、シャアアアァァァァッ!」
「す、凄い」
キラーアントは真っ二つになり灰へと変わってしまった。
「あ、魔石」
「この場合は仕方ありません。命の方が大事ですから」
魔石にダメージを与えればモンスターは即座に灰になり魔石の価値も低くなるか無くなる。だが、それはやはり時と場合によるものなのだ。
「ベル様のそれは魔剣なのですか?」
「え?あ、何て言うか。そのあれも僕の魔法と言うか……なんと言うか」
魔剣だとバレることは避けたいベル。
「それよりベル様も魔石の採取の方をやってみますか?」
「いいの?」
「はい。ここにもう一本ナイフがありますので。さすがに一人では時間がかかってしまいます」
ナイフを受け取り魔石の採取を始めようとしていた。
「そのさ、リリルカさん。ずっと気になっていたんだけどその様付けで呼ぶのやめてくれると嬉しいな」
「ベル様、リリのことはリリとお呼びください。さん付けはダメです」
「どうして…」
「サポーターなんて響きは良いですが所詮は都合の良い荷物持ちです。命を懸けてモンスターと戦っているのは冒険者様たちです。そんな冒険者様たちから見ればリリたちはなにもしていないのに甘い蜜を吸うだけの言わば寄生虫なんです」
リリの瞳はどこか暗い色をしていた。
「だから、リリたちが冒険者様たちと同格であろうとすることは傲慢です。もしそんなことをすれば冒険者様たちは分け前など恵んではくれないでしょう」
ベルは思った。一体彼女は今までどのような扱いを受けてきたのであろうか。どうすればここまで自分達のことを下へと見られるのだろうと。
「そんなことはないと思うよ。少なくとも僕はリリルカさんと対等な立場…仲間だと思っているよ」
「今はそれで良いです。さあ、 魔石の回収をさっさと行ってしまいましょう」
ベルは咲刃十六夜を後ろにおき魔石を取り出す。
「あ、意外と簡単だ」
「……」
後ろでリリはベルの魔剣を掴む。
「!?」
ドサッと音がしベルは後ろを向くとリリが倒れていた。しかも、先程まであった尻尾と耳がなくなった状態で。
「リリルカさん!!!」
ベルは慌ててリリの手から魔剣をはずした。
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