| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百十六話 本をなおしてその十二

「それでもね」
「人生の経験になってか」
「後々ね」
「生きていくか」
「そうでしょ、しかし洪童の親戚って」
「酷い奴もいるな」
「大叔母さんはいい人でも」
 それでもというのだ。
「酷い人は凄いわね」
「その二人以外にもいるしな」
「酷い人が」
「酒乱で奥さんや子供に暴力振るう奴もいるしな」
「その人も最低っぽいわね」
「ただ、今話している親戚とその母親は」
 この二人はというと。
「極めつけだ」
「親戚の中でも一番酷いのね」
「この母親はヒス持ちでもあるしな」
「何かあると喚いたりするのね」
「火が点いたみたいにな、一族で揉めごとがあるとだ」
 洪童は今度も眉を顰めさせて話した。
「常に一方にいた」
「喧嘩とか揉めごと好きだったの」
「相当にな」
「そんな人もいて」
「この母親は死んでいるがな」
「もういいのね」
「もっと早く死んでいれば」
 洪童はまた本音を吐露した。
「よかったがな」
「人間そう言われたら終わりね」
「そう思うな」
「ええ、速く死んでくれたらとかね」
「もう死んでくれとかな」
「そんなこと言われたら」
 それこそというのだ。
「もうね」
「人間としてな」
「本当に終わりね」
「俺もそう思う」
 洪童はまたナンシーに答えた。
「そしてそう言われたくない」
「そうよね」
「死んで惜しいと言われたい」
「出来るならそうよね」
「死んで欲しいだの死んでそう言われるとな」
「正直嫌になるわね」
「そうした風にもなりたくない」
 洪童はまた絶対にと述べた。
「死んで惜しまれる様にな」
「やっぱり人間はね」
「なりたいな」
「私もそう思うわ」
「だから今もか」
「あんたの言葉に頷いているのよ」
 こう洪童に返した。
「実際にね」
「そうだな」
「だってね」
「人間生まれたらな」
「そう、いい人生送って」
「人に好かれてな」
「死んでもね」 
 そうなってもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧