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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十話 たけなわになってその十二

「勤皇派、西郷さんにとって大恩人でござる」
「けれど薩摩藩にとってそれからどうか」
「薩摩藩にとってはでござるか」
「新政権の中に入るね」
「では」
「そう、西郷さんが龍馬さんを邪魔だと思って」
 薩摩藩ひいては新政権の中の薩摩閥にとってだ。
「暗殺させたってね」
「言われているでござるか」
「あと勝海舟さんも」
「龍馬さんの恩師でお互いに大切に思っていたでござるが」
「何か仲違いして」
 政治上でのことでだ。
「それでね」
「勝海舟さんがでござるか」
「何でも佐々木唯三郎さんと親しかったらしいから」
 それも個人的にだ。
「同じ直新陰流でね」
「それは余計に信じられないでござるよ」
「西郷さん以上にだね」
「流石に」
「僕もまさかと思うけれど」
 どちらの説もだ。
「けれどね」
「そうした説もあるでござるか」
「そうなんだ」
「嘘と思いたいでござるが」
「けれど個人的な怨恨かっていうと」
 佐々木唯三郎という人のだ。
「それはね」
「違うでござるか」
「個人的な面識があったかな」
 このこと自体が疑問だ。
「確かに勝海舟さんっていう共通の知人はいたけれど」
「立場が違うでござるな」
「うん、会ったことはあるかも知れないけれど」
 その可能性は流石にゼロじゃないだろう、どちらの人も京都にいたからお互い知らないうちに擦れ違っていたかも知れない、若しくはお互い顔を知ったうえで。
「それでもね」
「怨恨を抱くまではでござるか」
「ないしね、まあ一番言われてるのは」
 その説はというと。
「見廻組のね」
「仕業でござるか」
「坂本龍馬は志士達の中でも大物だから」
 それも相当のだ。
「見廻組も邪魔に思ってただろうし」
「ではやはり見廻組の犯行でござるか」
「そうだろうね、坂本龍馬さん隠れなかったらしいし」
 平気で志士達とも幕府側の要人とも会っていたらしい。
「だから狙われやすかったし」
「潜伏していなかったでござるか」
「あまり、みたいだね」
「それで普通に闇討ちを仕掛けられたでござるか」
「近江屋にね」
 龍馬さんが中岡慎太郎さんと共にいたその宿だ。
「いたところをね」
「狙われてでござるか」
「見廻組にね」
「若し龍馬さんが用心深かったから」
 マルヤムさんは残念そうに述べた。
「暗殺されなかったかもね」
「用心深さも大事でござるな」
「狙われてるのに堂々と表通り歩いていたら」
 それこそ免許皆伝の腕でもだ。
「すぐに狙われるよ」
「そうなるでござるな」
「それでああなった面もあるね」
「そう思うと余計に残念でござる」
「そうだよね、ただマルヤムさんって」
 僕はマルヤムさんのお話を聞いてあることを察して指摘した。
「龍馬さん好きだね」
「西郷さんも好きでござるが」
 それでもというのだ。 
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