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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十話 たけなわになってその十三

「龍馬さんが一番でござる」
「やっぱりそうだよね」
「最高に恰好いいでござる」
「志士の中でも」
「革命家としてもでござる」
 志士を革命家とするならだ。
「颯爽として器が大きくて先見性があって」
「凄い人でだね」
「恰好いいでござる」
 こう僕に話してくれた。
「お写真もきりっとしていて」
「着物姿でね」
「ただ、恋人や旦那様には」
「駄目かな」
「ムスリムであられても」
 同じ宗教の人であってもというのだ、日本ではともかく他の国特にイスラム圏ではこのことが重要だ。
「拙者ではとても釣り合わないでござる」
「龍馬さんには」
「素晴らし過ぎてでござる」
 龍馬さんがというのだ。
「拙者なぞでは」
「そう思うんだ」
「最高ランクの人でござるから」
「腕は立つし頭がいい」
 ただ子供の頃は通っていた塾を辞めさせられる位の劣等生だった、既存の学問が合わなかったということか。
「しかも度胸があって開明的で器も大きいでござる」
「スペックが高過ぎて」
「おまけに美男子でござる」
 あの写真を見ると、というのだ。
「ではでござる」
「マルヤムさんではなんだ」
「釣り合わないでござるよ」
 とてもという言葉だった。
「拙者ごときでは」
「そこまではね、けれどね」
「けれど?何でござるか」
「マレーシア、イスラムでもそうした人いるよね」
 龍馬さんみたいに素敵な人がとだ、僕はマルヤムさんに尋ねた。
「そうだよね」
「おられるでござるが」
「いるんだ」
「ムーサー殿やイーサー殿は」
「コーランの人だね」
「それぞれモーゼ、キリストでござる」
 聖書のこの人達だ。
「勇敢で前向きでござるよ」
「コーランのキリストって死なないしね」
「生きているでござるよ」
 聖書のイーサーはだ。
「性格も違う感じがするでござる」
「コーランの登場人物って明るいからね」
 前向きでしかも勇敢で活動的だ。
「ハッピーエンドも多いし」
「暗殺されようとしてもでござる」
「機知と勇気で乗り切るね」
「問題なくでござる」
「そうするね」
「危機があってもでござる」
 暗殺、戦い、そういったピンチがあってもだ。
「堂々と乗り越えるでござる」
「それがコーランだよね」
「だからコーランの人達は龍馬さんみたいに恰好いいでござるが」
「それでもだね」
「拙者なぞでは」
 マルヤムさんはまたこう言った。
「とてもでござる」
「釣り合わないんだ」
「人としての格が高過ぎるでござる、ただ」
「ただっていうと」
「それは今の時点で、でござるな」 
 まるでコーランの登場人物の様に前向きな言葉だった、しかし本当にコーランと聖書では同じ人の話でも物語が違う。そもそも神様がコーランではかなり寛容だ。人の多少の過ちは何でもないといった感じだ。 
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