八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十話 たけなわになってその十
「まあ西郷さんは色々あった人だけれど」
「失脚もしているでござるな」
「島流しに遭ったりしてね」
奄美大島にだ、他にも離島のとんでもない牢獄に入れられたりもしている。そして最後も下野して西南戦争で死んでいる。
「それで暗殺もね」
「されそうになったでござるな」
「いや、この人は命じていたから」
暗殺をだ。
「むしろね」
「そちらでござったか」
「凄く純真で器が大きくて弱い人を見捨てないけれど」
奄美大島でもそうだった。
「誰からも愛され慕われてね」
「人格者でもあったでござるな」
「だから明治帝も愛されたんだ」
落馬された時痛いと申されたその時に君主たるもの痛いと申されるなと言ったのが西郷さんだったという、そして明治帝はその西郷さんのお心に打たれたらしい。
「凄い方だってね」
「そうでござるか」
「西南戦争で死んだけれど」
明治政府に叛乱した形でだ。
「西郷は逆賊ではないってね」
「言われたでござるか」
「ご自身がね、それでね」
叛乱を起こした筈の西郷さんにだ。
「死後高い官位を贈られたもしていたんだ」
「ご自身に弓を引いた形でござるが」
「西南戦争はね」
「叛乱でござるからな」
「けれどね」
それでもとだ。
「ご自身で逆賊でないと言われて」
「高い官位もでござるな」
「贈られたから」
「そこまで愛されていたでござるな」
「うん、そうした人だったけれど」
大器、天下を担うに相応しい方で人格も優れていたけれどだ。
「暗殺もね」
「命じていたでござるか」
「そうした矛盾もあった人なんだ」
「そうでござったか」
「政治力も凄かったけれど」
明治維新の後の国歌の形成はこの人と大久保さんあってこそだと言ってよかった、幼馴染みで親友同士だったこの人達が。
「それでもね」
「暗殺の様なこともでござるか」
「命じていたから」
「矛盾するでござるな」
「素晴らしい人だよ」
このことは紛れもない事実だ。
「けれどね」
「そうした一面もあるでござるな」
「そうなんだ、坂本龍馬さんは」
この人に視線を戻すとだ。
「暗殺はしていないから」
「命じてもいないでござるな」
「かえって暗殺に手を染めている人を心配したりしているよ」
「岡田以蔵さんでござるな」
「上にいた武市半平太さんもね」
「お二人は龍馬さんの知り合いだったでござったな」
「そうだったんだ、三人共古い付き合いで」
このことを主点に置いた漫画もあった。
「よく知り合っていたんだ」
「そうした間柄でござったな」
「だから二人、特に以蔵さんをね」
「心配していたでござるか」
「暗殺ばかりしていて」
特に岡田以蔵さんは実行犯だったから余計にだ。
「どうかと思っていたみたいだよ」
「そうでござるか」
「確かに刀は人を斬るもので」
このことは否定出来ない。
「剣道もね」
「その為の技術でござるな」
「それはそうだけれど」
「人を斬ってばかりだとでござるな」
「やっぱりよくないからね」
このことは否定出来ないことだった、当時から。
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