| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。

作者:エギナ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第56話 馬鹿なの阿呆なの死ぬの?

 
前書き
後半グロ、エロ注意。 

 
「今、なんて?」
「だから、オレは琴葉が好きだ」
「今、なんて?」
「だから、オレは琴葉が好きだ」
「今、なんて?」
「だから、オレは琴葉が好きだ」
「許せるかぁぁあああああああああああああああ‼︎‼︎」

現在、私が依頼の報告の為にマフィアビルにいる湊さんの元を訪れて居るのだが……
湊さんは私の報告そっちのけで、何故か着いてきた橙条さんと言い争いを始めた。

「琴葉は私の妻‼︎ 君には渡せない‼︎」
「ハァッ⁉︎ 彼奴は結婚してねェじゃねェかよ。何が妻だ! そりゃ妄想だ‼︎」
「妄想? あと一年、否一ヶ月もすれば琴葉は私と結婚するだろうね」
「琴葉はマフィアを抜けたンでね。今は第一魔法刑務所の看守だから、てめぇが手ェ出すのは不可能なンだよォ」
「真逆ッ‼︎ 琴葉はまだマフィアに所属して居る。琴葉は諜報員なのだよ」
「だからっつっても、近くに居ンのはオレだ。てめぇに譲る程オレぁ甘くねェよ。それでも琴葉と一緒に居てェつんだったら、今すぐ豚箱にぶち込んでやる」
「やってみろよクソ雑魚野郎」
「上等だクソカス野郎」

やるなって。

「そんなに喧嘩しないで下さいよ。貴方方が戦ったらこの建物が崩壊しかねないんですけど。実際、橙条さんは一階と地下牢獄を壊してますし」
「じゃあ琴葉は私と橙条君、どっちが良いのかい⁉︎」
「ずっと喧嘩してる人は嫌いです。喧嘩してない時なら、二人とも好きですよ」
「てめぇの“好き”は完全に“like”じゃねェか! オレが言ってんのは“love”の方で」
「分かった上で言っていますが?」

と言うか、喧嘩してるんだったら私は帰っていいですよね?

「琴葉様。自宅までお送りします」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

仁がエスパーでした。

「「ちょっと待てッ‼︎」」
「はい。ちょっと待ちました。さようなら」
「「待ちやがれッ‼︎‼︎」」
「……なんですか。私、喧嘩に巻き込まれるのだけは本当に勘弁なんですけど」

「おいマフィア首領‼︎ 漢ならラップで勝負だろあ゛ぁ⁉︎⁉︎」
「良いだろう。やってやる」
「駄目です駄目です駄目です‼︎‼︎ 完全に“ヒ◯ノシスマイク”に影響されてるじゃないですか‼︎」
「知るかボケェ‼︎」
「さっさとマイクを出せ。勝負だ」
「マイクも出さない、勝負じゃない! ……って、そんな面白そうな顔でマイクを用意しないで下さいよ、響‼︎ それも四本‼︎」
「いいじゃねぇか。こーゆーのは楽しい方がいいだろぉ?」
「遂に湊さんの前で敬語外したメイドこんにゃろぉカッコいい」
「琴葉様が狂った」
「ハッ……って、そのマイクは真逆ッ‼︎」
「精神干渉できる魔法を掛けてあるぜ」
「アウトォォオオオオオオオオオ‼︎‼︎ マイクは没収です!」
「「「「ちぇ」」」」
「“ちぇ”じゃない‼︎」

「じゃあ飲み比べしようや」
「良いだろう。響君、仁君。ありったけの酒を持ってきて」
「朝から酒盛りとか正気ですか⁉︎ と言うか、普通にやめて下さい‼︎ 買い足すの私なんですからね⁉︎」
「琴葉……諦めろ」
「響は諦めるのが早すぎる‼︎」
「琴葉様。此処はもう放っておいた方が賢明かと」
「仁も諦めないで……‼︎」

「「「「と言うか、琴葉(様)が原因なんだから/ですから、琴葉(様)が何か言えば良いじゃないか/ねェか/ないですか」」」」
「全員黙れ。さもなければ全員一緒に首飛ばして四人仲良く棺にぶち込んでやるよクソ野郎共」
「「「「すみませんでした」」」」
「分かれば良いですよ。まぁ取り敢えず、私は報告書を置いて帰りますので。そしたらラップバトルでも飲み比べでも、お好きにどーぞ。では、御機嫌よう」


◇ ◇ ◇


依頼は昨日で一通り終わったので、今日は家でまったりとしていれば良いのだが———

「やっぱり、楽しみを求めてしまうんですよねぇ」

一人きりで街に来て、目的も無しにふらふらと歩いていた。

……ら。

「……あ、ぶ、な、い‼︎‼︎」

赤信号に突っ込んでいく青年。自殺したいの⁉︎ 馬鹿なの⁉︎ 阿保なの⁉︎ 死ぬの⁉︎
思わず彼の元まで全力疾走して、腕を思いっきり引く。そして、自分より大きな体を抱き寄せる。

白い髪に灰色の目。真冬さんと一緒……

「あ゛? んだよ、てめえ」

前言撤回。真冬さんはこんな不良みたいな口調じゃないし、こんなドスの効いた声じゃない。

「通り縋りの者ですが……貴方、大丈夫ですか? 赤信号ですけど」
「あ゛? ……ホントだ」

“ホントだ”ぁあああ?

「“ホントだ”じゃないんですけど。危うく、貴方死ぬところでしたよ」
「考え事してて気付かなかっただけだっつーの。それに、車が来たら避けるさ」
「貴方の何処にそんな実力が……」

「ねぇねぇ、あれって……」
「精鋭の魔法遣いがゴロゴロ居るって言う噂の暴力団のマークが入ったシャツ着てる……やば。逃げなきゃ」

マジですかいオネーさん。

もしかして、私とんでもない状況なんじゃ……

「———てめえ。今なんつった」

やらかしましたね。

「……はぁ。まぁ良いでしょう。今日の外出は“赤信号に突っ込むヤクザを助けた”って事で満足ですからね。はぁ……」
「ブツブツ何言ってやがんだよ。もっとデケェ声で言えや、クソ(アマ)ァ」

「アンタが魔法遣えるとか、ありえなぁい‼︎」

おい、アイツ頭ぶっ飛んでんじゃねぇのか⁉︎ とか、誰か、警察呼べぇ‼︎ と野次馬が騒ぐが、もう気にしない。
一般人がどれだけ頑張ったとしても、絶刃の前では全て無力に等しい……のですかね? まぁ取り敢えず、殺して蘇生すればヤクザでも黙るでしょう。

最悪、絶刃を使って、ヤツを殺す。

「……ついてこい。ボコしてやる」
「えぇ? 聞こえないですねぇ! もう一度お願いして良いですか?」
「ついてこい」
「……はぁい」

これは、面白いことになってきましたねぇ。


◇ ◇ ◇


「で、痛い目に遭う前に謝罪はあるか?」
「ないですねぇ。そちらこそ、命の恩人に感謝はありませんか?」
「……やれ。まずは指の爪を剥げ」

白髪ヤクザさんの事務所にお邪魔したら、直ぐに拘束されて血塗れの部屋に閉じ込められた。そして、慣れた手つきで椅子に拘束されて、現在拷問チックな事をされている。
白髪ヤクザの部下さんが、専用の器具を使って、私の手の爪を剥いでいく。

「……ほう。爪を剥がれても泣き叫ばないどころか、動揺一つしねぇとは……とんだイカレ野郎だぜ」
「ずっと拷問に耐える訓練は積んできていますから、痛覚なんてとうの昔にぶっ飛んじゃいましたよ。今の状態なら、きっと下半身とバイバイしても、痛くも痒くも無いんじゃないですかね?」
「へぇ。じゃあその通りにやってみるか。再生魔法が遣えるヤツを呼んでこい。てめえは切断してろ」

私の爪を剥いだ部下さんが、今度は魔法で表面を加工してある刃物で、ゆっくりと私の体を二つに割いていく。

痛く、ない。

「ホントに声一つあげねぇのかよ……」
「勿論です。これで終わりですか?」

完全に下半身の感覚が無くなったところで、自分で下半身を再生する。私の前下半身は適当に燃やしておいて欲しいですね。裏オークションに売りに出しても良いと思いますけどね。
服までは再生出来ないので、下は何も履いていない状態なのが本当に辛いです。今はまだ脚が解放されている状態なので、自分の秘部を隠す様に、椅子の上に三角座りしている様な体勢にする。

「……チッ。このイカレ野郎に痛みは効かねぇ。寧ろ逆効果だ。全員、この部屋から出ろ。後は俺がやる」

……まっさーかまっさーか。

「流石に“痛覚”はなくせたとしても、“快感”までは無くすこたぁ出来ねぇだろ」
「マセガキ……」
「誰が餓鬼だって? 残念ながら、俺はオトナなんだよ」

皆この思考に行き着くんですよね。まぁ、私もですけど。
“痛みで通じなかったら中途半端にキモチヨクさせる”。そうしないと、時間ばっかりが過ぎていく。

「んっ……‼︎」

顔を近づけてきて、乱舞に私の唇を塞ぐ。
あー、ヤクザのボスだけあって……キス、上手……

呑まれる。

「……いッて‼︎ 女ぁ。俺様の舌を噛むなんて、可愛くねぇなぁ?」
「は、あ……本当にやめてほしいなぁ。これ以上ヒ◯マイを引っ張らないで下さいよ……」
「あ゛ぁ?」

完全に作者の推しとキャラ被ってるのですが?
すみません、作者が俺様系キャラが好きなんです。作者は腐っているので、びーえるで攻めになりそうな俺様キャラが大好きなんです。
———だから、目を瞑って‼︎‼︎

「意味わかんねぇ事言える程度にゃ耐性があるって事か。ま、表情(カオ)はすっかり溶けきっちまってるけどな」
「……意識するタイミングが少し遅かっただけです。ヤクザ如きのキスに溶かされる程、私は可愛くないですよ」

嘘。本当は嘘でも吐かないとやってられないくらい、今のキスで溶かされた。思考がぼんやりとして、このまま行けば直ぐに何も考えられなくなる。

「嘘だな」

耳元で低い声で囁かれた後、痺れる様な感覚が背筋を駆け上がってきて、肩が大きく跳ねた。

「体は正直だなぁ? 下、もう濡れてるけど?」
「……後で如何なっても知りませんよ。先に言っておきますけど、私はマフィアの幹部と第一魔法刑務所の主任看守部長をやっている、黒華琴葉と言います。自分の欲望の所為で組織が潰されてもいいのなら、最後までやれば良いですよ」
「往生際が悪りぃな、御前。ま、そっちが自己紹介したんだから、俺もしねぇとな。俺様は“てめぇを造った組織”の幹部と、この組織のボスをやっている、白雪真希だ。……そうだな、“真希様”って呼べよ。“琴葉”」

「……“女っぽい名前の白髪クソヤクザ”で良いですか? ねぇ、ヤクザさん」

額に銃が突き付けられる。……少々、怒らせ過ぎたか。というか真冬さんの兄弟?


「調子に乗んじゃねぇよ、木偶が。てめえは俺様の管理下で、俺様の人形として働け」


……これは、本気でマズイ事になった。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧