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八条学園騒動記

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第五百十六話 本をなおしてその五

「色々な人を見てな」
「影響を受けて育つしね」
「馬鹿な親を反面教師にしてもだ」
 例えそうしてもというのだ。
「いいしな」
「馬鹿な親でもってことね」
「馬鹿と鋏は使い様というがな」
「馬鹿な親もっていうのね」
「見方次第でな」
 それでというのだ。
「変わる」
「ああはなるまいって思って接していると」
「その子供は立派になる」
「そういうことね」
「俺はその母親は心底嫌いだった」
「それでその親戚の人よりはなのね」
「ましになっていると思う」
 こうナンシーに言うのだった。
「まだな」
「まあ聞いた限りだとね」
 ナンシーも洪童にこう返した。
「その人どうにもならないから」
「何をしてもな」
「そんな人と比べたらね」
 それこそというのだ。
「あんたはずっとね」
「ましだな」
「幾ら何でもね」
「酷い奴だな」
「本当に私が話した馬鹿と同じレベルだから」
 そこまで酷いからだというのだ。
「それじゃあね」
「俺はだな」
「ずっとましよ。そりゃあんたももてたいと血眼になっていた時もあるし」
 それでというのだ。
「色々と問題もあるけれど」
「それでもか」
「その人よりは」
「ましだな」
「ええ、ましよ」
 遥かにというのだ。
「本当にね」
「俺もそう思うしな」
「そうよ、しかし本当に甘やかされたし」
「元々がな」
「酷い人だったのね」
「そんな人間になりたくないならな」
 そう思うならと言うのだった。
「そうした人間を反面教師とすることだな」
「駄目な親を持っていても」
「反面教師にすればな」
「いいってことね」
「そうなるからな」
 それでというのだった。
「俺としてはな」
「反面教師のことも考えて」
「そうしてだ」
「考えていってるのね」
「ああはなるまいとな」
 その様にというのだ、こうしたことを話してだった。
 洪童とナンシーは自分達のクラスである二年S1組に向かっていた、そうしつつ今度はナンシーから話した。
「いやあ、人間って色々ね」
「そう思うな」
「あんたもそうよね」
「ああ、本当にな」
 実際にと言うのだった。
「いい人も悪い人もな」
「どっちの人もね」
「色々だな」
「俺の親戚もそんな奴がいてな」
「いい人もいるのね」
「俺の大叔母さんだが」
「その人はどんな人なの?」
 ナンシーは洪童に尋ねた。 
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