夢幻水滸伝
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第九十四話 会議のはじまりその三
「ほんまにな」
「わかってるわ、絶対にや」
「充分な働きしてくれるか」
「そうさせてもらうわ」
是非にと言ってだ、そのうえでだった。
日本は表だけでなく舞台裏でもだった、しきりに動きだした。だが表ではあくまでにこやかであった。
各勢力の星の者達を奈良で最高級の宿にそれぞれ入ってもらい日本の馳走と酒そして奈良の名所を巡ってもらった。
そうして会議の用意も進める、だがだった。
その中でだ、太宰は綾乃に報告した。綾乃は奈良の御所に留まり太宰は都で政を執りつつ時間を見て奈良に移動の術で来ているのだ。
そしてだ、綾乃に言うのだった。
「会議の用意を進めてはいますが」
「それでもやね」
「はい、今芥川さんが情報を集めようとされていますが」
「それぞれの考えをやね」
「ですが」
「中々やね」
「はい、出来ていません」
どうにもと言うのだった。
「それも殆ど」
「どの勢力も用心深いってことやね」
「情報収集では日本は各勢力の中で随一です」
このことをだ、太宰は言い切った。
「何といいましても」
「芥川君と佐藤兄妹がおるさかい」
「かなりの忍の組織を持っています」
日本、この国はというのだ。
「ですから情報収集については」
「うちが一番やね」
「これまで交易の中で情報も仕入れてきました」
「それでやったね」
「はい、各勢力の国力から軍事力、星の方々のことまで」
わかっていたいうのだ。
「そうしてきました」
「太宰君の方もやね」
「宰相府の情報収集もあります」
太宰は太宰でそれが出来るというのだ。
「そちらも使っていますが」
「それがやね」
「どうもです」
太宰は綾乃に少し苦い言葉で述べた。
「私の方も上手くいっていません」
「ほなここは」
「はい、やはりもう暫くです」
「会議やなくてやね」
「幸い時間はかなりありますので」
会議の時間は定められていない、だからだというのだ。
「今はです」
「奈良の名所巡ってもらって」
「お酒にご馳走にお風呂に」
「お花見もやね」
「してもらい」
そうして昼夜楽しんでもらいというのだ。
「徐々にです、一言一言でもです」
「横や後ろから聞いていって」
「その一言一言をつなぎ合わせていき」
「相手の考えを読んでいくんやね」
「そうしていきましょう、我々の目的は定まっています」
「太平洋の戦はそれぞれ一戦で終わらせる」
「そのことはです」
定まっているというのだ。
「ですから」
「それで話が整う様にやね」
「会議を進める為にも」
「情報収集もやね」
「していきましょう」
太宰は実際に情報収集にも専念していた、そうした意味で諸勢力の者達を敵視していた。
だがそこから離れるとだ、他の勢力の彼等にこう言った。
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