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夢幻水滸伝

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第九十四話 会議のはじまりその四

「さて、今は敵同士ですが」
「戦が終わればな」
「我々は友人となりますので」
 だからとだ、中国の学者の服を着たリーに答えた、二人とシェリルは今は共に酒を飲みつつ話をしている。リーは眼鏡が似合う知的な整ったアジア系の人間の顔で背は二メートルはある。身体つきもしっかりとしている。全体的に清潔な感じだ。
「宜しくお願いします」
「こちらこそな、そもそも」
 リーもまた言うのだった。
「私と君は起きているとよく会っているしな」
「そうですね、私は普通科の生徒会長で」
「私は特進科の生徒会長でな」
「生徒会同士の会合でよく会いますので」
「知ったる仲だ」
「ですからね」
「私の場に入るとな」
 今の様にというのだ。
「打ち解けていいな」
「そうですね」
「戦いを離れれば」
 シェリルも言ってきた、アボリジニーの女性の服を着ている。銀色の長い髪の毛に神秘的な緑の瞳、顎の先が鋭い顔である。背は一六〇程でスタイルはいい。黒い肌はきめ細かく琥珀の様な印象を見せている。
「もう私達は友達よ」
「今の様にですか」
「ええ、他の子達も」
 日本の白酒を飲みつつ太宰に話した。
「同じよ」
「仲がいいですね」
「ええ、それぞれね」
「公の場以外では」
「仲良くしているわ」
「この奈良の街において」
「その様だから」
 だからと言うのだった。
「私としてもね」
「有り難いことですね」
「全く以てね」
「確かに今は敵同士」 
 リーはこの現実を指摘した。
「されど公の場を離れるとな」
「友人同士ですね」
「それでいい、南洋の星の者達にも言っている」
「公の場を離れれば」
「仲良くしろとな」
 その様にというのだ。
「告げている」
「左様ですか」
「実際にだ」
 まさにと言うのだった。
「我々は起きた時は友人同士だからな」
「それならですね」
「友人として交流していけばいい」
「だから今もですね」
「飲んでいるが君は」 
 リーも白酒を飲んでいる、そうしつつ鯉の刺身や唐揚げを食べている。太宰も刺身や唐揚げを食べているが。
「起きた時と同じだな」
「お酒ですか」
「飲んでいないな」
「お酒は苦手ですので」
 太宰はリーに困った笑顔で答えた。
「ですから」
「下戸か」
「少し飲むと」
 それでというのだ。
「もうそれで、です」
「それでか」
「はい、夜は飲みますが」
 それでもというのだ。 
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