八条学園騒動記
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第五百十四話 真理の実行その十
「見ていて嫌になる位な」
「そんな風だったから」
「それでだ」
「そんなどうしようもない人になったのね」
「そうだろうな」
「何ていうかね」
ここまで聞いてだ、ナンシーは顔を曇らせて述べた。
「トンビが鷹を生むっていうけれど」
「それは普通の親から出来た子が生まれるだな」
「屑から屑が生まれる」
「そんな風に思えるな」
「どんな鳥よりも酷いから」
ナンシーは実はトンビが鷹を生むという言葉から鳥に例えようとしたがこれといって思いつかずにこう言ったのだ。
「だからね」
「カッコウだろうな、強いて言うと」
「ああ、あの家を乗っ取る鳥ね」
「他の鳥に育てさせてな」
「あの鳥は大概よね」
「その母親も図々しいし恩知らずだ」
「それで息子さんもなのね」
そう言われるとナンシーも納得した。
そしてだ、こう洪童に述べた。
「じゃあ強いて言うならカッコウね」
「その母親も働かないしな」
「遊んでばかりって言ったわね」
「それで働かないが」
それでもというのだ。
「少し何かするとしてやってるだ」
「それ嫌ね」
「自分がしたことは忘れるが」
「執念深いって言ったわね」
「そんな人だ」
「何かどっちも親戚にいたくないわね」
「しかしいてな」
「親戚中が迷惑してるのね」
ナンシーも納得した。
「やれやれね、ただそんな母親がいて息子さんを匿わないわね」
「浮浪者にさせないか」
「そうならない?」
「母親の方は死んだ」
そうなったというのだ。
「親戚中で厄介者が一人死んだとなってる」
「あら、そうなったの」
「それでだ、残りのな」
「その息子さんがなのね」
「今行方不明でこのままな」
「いなくなって欲しいって思われているのね」
「その宗教団体の教えはいいと思うが」
洪童が見たところだ。
「三ヶ月預けられて言いだした」
「三ヶ月でなの」
「団体の組織の仕組みがどうとかとな」
「教義とか勉強しないで」
「あまりな、とにかく努力をしない人でな」
それでというのだ。
「そうした風だった、しかも三ヶ月で組織とかがわかるか」
「全然わからないわよね」
「教義もな、教義にも何かと言っていたが」
「本当にどうにもならない人ね」
「しかも自分は頭がいいと言うが学歴もなかった」
「大学も出てないとか」
「名前も知らない高校を出ているだけだ」
そうだったというのだ。
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