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八条学園騒動記

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第五百十四話 真理の実行その九

「そうな」
「相当嫌われてない?」
「嫌われている、理由はわかるな」
「人間性が悪過ぎるわね」
 ナンシーの聞く限りではその輩はそうした輩だった。
「それじゃあね」
「誰からも嫌われてな」
「見放されてなのね」
「奥さんはじまってな」
 そうしてというのだ。
「親戚からも宗教団体からもな」
「その施設をやっている」
「そこで勉強すれば聖職者にもなれたが」
 仏教で言う僧侶、キリスト教で言う神父や牧師にというのだ。
「そうなれたが」
「努力しなかったのね」
「そんなことをする奴じゃなくてな」
「その癖悪口ばかり言って」
「その団体の仕組みがどうとかな」
「教義とか勉強しないで」
「そんなことを偉そうに悪口を言うだけだった」
 そればかりだったというのだ。
「それでだ」
「誰からも匙を投げられて」
「今はそんなのだ、どうせ今もな」
「嫌われてるのね」
「そうだろうな」
「何ていうか」
 ナンシーは洪童にこう述べた。
「その人何もないわよね」
「そうだな、努力も何もしてこなかったからな」
「何も身に着けてないわね」
「だから何もないな」
「そうよね、けれど」
 何も持っていない、能力も何一つとしてだ。
「一体何をして暮らしていたのか」
「本を読んでばかりだ」
「けれど本を読んでもよね」
「正しい知識は備えていない」
 読書で備えるべきそれをというのだ。
「自分が偉そうに何かを言う為のものでしかない」
「読まない方がましね」
「しかも働かくてな」
「思いやりがなくて恩知らずで器も小さい」
「本当に何も持っていないな」
「悪いものばかり持っていてね」
 ナンシーは少なくともそう思った。
「それで偉そうにしていたの」
「いつもふんぞり返っていた」
「人の家にも平気で入って来て大飯だったのね」
「図々しくな」
「私そういう人絶対駄目よ、というかね」
 顔を顰めさせてだ、ナンシーはこう述べた。
「何もない人がどうして偉そうか」
「そのことがだな」
「わからないわね」
「自分で勝手に思っているんだろうな」
 眉を顰めさせてだ、洪童はナンシーに答えた。
「偉いとな」
「自分で勝手になの」
「言ったな、母親に変に甘やかされていたと」
「ああ、そうだったわね」
「長男ということでな、この母親も依怙贔屓はするわ突発性にヒスになるわ執念深いわ子供の世話よりも遊びに行ってばかりでだ」
「母親も碌でもないわね」
「そんな母親に甘やかされていてな」
 一言で言うと碌でもない人間にというのだ。
「そうしてだったからな」
「そうした人になったのね」
「悪い要素ばかり揃ってな」
「酷くなったのね」
「俺が見ても甘やかし過ぎだった」
 その母親はというのだ。 
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