夢幻水滸伝
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第九十二話 太平洋の諸勢力その七
「一体」
「それな、太平洋は広いわ」
中里も綾乃のその言葉を聞いて述べた。
「この世界の半分、しかもアフリカの大半も入るさかいな」
「世界の七割はあるで」
「普通にな、その七割を統一するとなると」
「どんな戦になるやろね」
「激しくて長い戦になるな」
これが中里の読みだった。
「ほんまに」
「そやね、戦が激しくて長かったら」
綾乃はそうなった場合のことを考えて顔を曇らせて述べた。
「民も国もとんでもないことになるわ」
「それが問題です」
太宰もその通りだと答えた。
「それでなのですが」
「それで?」
「このことは間違いなく他の方々も同じお考えでしょう」
「他の神星の子達もやね」
「はい、諸勢力の」
「そやったら」
そう聞いてだ、綾乃は述べた。
「皆で話そか」
「諸勢力の棟梁の方々と」
「そうしよか」
太宰にこう言うのだった。
「ここは」
「そうしてですか」
「出来るだけ民にも領土にも迷惑かけん」
「そうした戦で、ですか」
「ことを進めへん?」
考える顔になってだ、綾乃は太宰に棟梁の座から話した。この言葉は芥川と中里にもかけているのは言うまでもない。
「そうして」
「そうですね、ではです」
「それやったらやな」
「ここは諸勢力に使者を送り」
そうしてと言うのだった。
「会議を開こうと提案して」
「その会議でやね」
「どういった戦で覇を競うか決めましょう」
「それでいくんやね」
「はい、ではすぐにです」
「使者をやね」
「送りましょう」
「ええ考えやな」
芥川も綾乃の考えに賛同して述べた。
「ほなな」
「すぐにやね」
「南洋、中国、アメリカ、中南米とアフリカの連合に使者を送ろう」
「そうしよな」
「それで使者は誰かやな」
「ここは話の上手な奴を送った方がええやろ」
中里も意見を出した。
「その方がええやろ」
「その通りや、ほな星の奴から選ぼうか」
「そういうことでな」
こうして使者の人選に入りそれが済んでからだった。
実際に日本から諸勢力に使者が送られた。南洋には幸田、中国には日葵、アメリカには美鈴、中南米とアフリカには室生が行くことになった。
その人選を決めてだ、綾乃は使者に決まった四人を集めて話した。
「ほな今からな」
「ああ、言って来るぜ」
幸田は綾乃ににかっと笑って応えた。
「これからな」
「宜しゅう頼むな」
「会議の申し入れしてくるな」
「そうしよな、それでな」
「それからだよな」
「会議の場所はここにするから」
綾乃は場所の話もした。
「日本、奈良でな」
「奈良でするんだな」
「このことは太宰君と話してな」
傍らに控える彼をちらりと見ての言葉だ。
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