| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百二十七話 共演してその一

               第二百二十七話  共演して
 井上さんから蝶々さんの話を聞いた、そうしてだった。僕はクラスではこのことを話さなかったけれど。
 一旦クラスから出て自動販売機でお茶を買いに行く時に日菜子さんと会った、そこで日菜子さんから言われた。
「ねえ、沙耶香から聞いたけれど」
「どうしたんですか?」
「あの娘のクラス蝶々夫人やるけれど」
 それでもと言うのだった。
「それがね」
「それが?」
「そう、それがね」
 まさにというのだ。
「何か結末でね」
「さっき井上さんと会いまして」
 僕は日菜子さんに正直に答えた。
「言われました」
「あの娘からなの」
「はい」
 実際にとだ、僕は答えました。
「教えてもらいました」
「そうなのね」
「結末をどうするかっていう話になっているって」
「あの作品はあたしも知ってるわよ」
「悲しい結末ですよね」
「ええ、若しもよ」
 日菜子さんはオレンジジュースを買いつつ僕に行ってきた。
「幸せな結末ならね」
「いいですか」
「蝶々さん可哀想じゃない」
 だからだというのだ。
「それならね」
「助かって欲しいですか」
「そしてね」
 日菜子さんは僕にさらに話してくれた。
「お子さんともね」
「幸せにですね」
「暮らして欲しいわね、あたしは断然ね」
「ハッピーエンド派ですか」
「そうよ」
 はっきりとした返事だった。
「理屈抜きでね」
「ストーリーに無理があっても」
「多少無理があってもね」
 それでもとだ、日菜子さんは僕にはっきりと言ってきた。
「それでいいでしょ」
「ハッピーエンドなら」
「悲しい人生の人は」
「幸せにだね」
「なるべきだから」
 それでというのだ。
「蝶々さんもよ」
「自害するより」
「そう、死んだら駄目よ」
 絶対にという返事だった。
「折角全部捨てて結婚したんでしょ」
「そうですよね」
 第一幕では改宗したことでだ、親戚一同から縁を切られている。ボンズというお坊さんの親戚もいて激怒していた。
「あの人は」
「そうでしょ、覚悟決めてね」
「元は武士で」
「だから蝶々さんも誇りがあって」
 武士の家の人としてのだ。
「あえてそこまでしたのに」
「あの人は」
「そう、絶対にね」
 それこそというのだ。
「幸せになるべきなのよ」
「それなのに自害するとかは」
「そんな結末は」
 それこそというのだ。
「願い下げよ」
「お子さんを託して自分は自害とか」
「そうなったことは」
 まさにというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧