夢幻水滸伝
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第八十九話 東国統一その五
「占領してその島々にいる民も」
「東国の民になったな」
「はい、素直に従ってくれました」
北の浮島の民達もというのだ。
「無事に、人口は少ないですが」
「まあな、あの辺りになるとな」
人口の少なさについてだ、幸田はこう述べた。
「やっぱり人も少なくなるな」
「寒いですから」
「そうだな、けれどな」
「あの辺りもですね」
「東国に入ったからな」
だからだというのだ。
「しっかりとな」
「政をしていきますね」
「そうしてくぜ、あとロシアが来てもな」
「女帝ですね」
「大丈夫な様に守りを固めていくか」
「なら」
丁度その場で下総と上総そして安房の内政の報告をしに来ていた遠藤が述べた。
「ここはですね」
「艦隊もな」
「用意していきますか」
「ああ、大湊がいいな」
北の守りの港はとだ、幸田は言った。
「函館でもよさそうだけれどな」
「大湊にしますか」
「函館は貿易と漁業でな」
この二つでというのだ。
「積極的にな」
「力を入れていって」
「大湊はな」
「軍港にしますか」
「ああ、まあロシアが来るのはまだ先だけれどな」
今シベリアを東進している最中だ、広大なシベリアを踏破するにはまだまだ時間がかかるということだ。
「それでもな」
「今の時点で、ですね」
「備えはじめておこうぜ、そして日本を統一した時にはな」
「大湊に充分な艦隊を置き」
「千島も樺太も守るぜ」
その地域もというのだ。
「蝦夷そして日本海もな」
「ではその軍備もですね」
「進めていくぜ、しかし色々政をやってな」
そしてと言うのだった。
「金がかなりかかってるな」
「そこは仕方ないですね」
遠藤もそれは述べた。
「銭のことは」
「ああ、やっていくな」
幸田は軍備のことも考えていた、それは海軍にも及び積極的に国力拡大を進めていた。そしてその中でもだった。
幸田は食事も楽しんでいた、彼は今は麻友と共にまたしても江戸城を出てお忍びで食べ歩きに出ていた。
そうして鰻屋で鰻丼や蒲焼き、肝吸い等を楽しみつつ共に鰻を食べる麻友に言った。
「いいねえ、鰻は炭火だよ」
「そうだね、炭火だとね」
「炭火の匂いまでしてな」
「いい味になるね」
「おう、しかも捌き方はな」
「東のだね」
「背中から捌くのがだよ」
この捌き方がというのだ。
「鰻の一番いい捌き方だよ」
「江戸のね」
「これが関西だと違うからな」
幸田はタレの味も絶妙な鰻丼を食べつつ言った。
「腹からだからな」
「そうそう、関西はね」
「あれだとな」
「こっちの人間にはね」
「よくねえんだよ」
「そうだね」
「あと麻友っちは吸血鬼だけれどな」
幸田は麻友のこの世界での種族について述べた。
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