八条学園騒動記
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第五百九話 ラッコ達その一
ラッコ達
ナンとダンはダンの勧めで今度はラッコのコーナーに向かった、そのコーナーはカイギュウ達のコーナーのすぐ近くにあった。
ラッコ達はガラスの向こうにある水槽の中にいた、そこでぷかぷかと仰向けに浮かんでいる。その彼等を観てだった。
ナンはダンにこんなことを言った。
「ラッコって鼬とか獺とか」
「そちらの仲間だ」
「そうよね」
「だからこう観えてな」
ダンもぷかぷかと浮かぶラッコ達を観つつ話す。
「かなり食う」
「鼬って食べるからね」
「獺もな」
「だからなのね」
「海胆や烏賊や貝類を食う」
「肉食なのね」
「食費は馬鹿にならない」
ラッコのそれはというのだ。
「食うものの種類でも量でもな」
「お金かかる生きものなのね」
「そうだ、俺の家の水族館にもいるが」
「さっきそんなこと言ってたわね」
「食費はかなりかかっている」
「そうなのね」
「哺乳類は食う」
ダンはこうも言った。
「全体的にな」
「お魚よりもなのね」
「同じ大きさでもな」
「食べる量が違うのね」
「同じ大きさの鮫と鯱だとな」
この二種類の生物を比較すると、というのだ。
「比較にならない、体重も違うしな」
「確か鯱の方が重いのよね」
「遥かにな」
「それで食べる量もなのね」
「違う、哺乳類は恒温動物だからな」
「体温をコントロールする為になのね」
「かなりの量を食う、特にラッコは鼬の仲間でだ」
元々大食の科でというのだ。
「冷たい海の中にいるからな」
「体温を確保する為になのね」
「かなりの量を食わないと駄目だ」
「そういうことね」
「そうだ、寒いところにいるとな」
「体温調節が余計に大変で」
「食わないとだ」
それこそというのだ。
「生きていられない」
「ううん、シビアね」
「ちなみに海胆等は日本人の好物だ」
「琉球人もよね」
「アイヌ人もだ」
この国の人達もというのだ。
「日系国家は海の幸が特に好まれる」
「じゃあラッコともなのね」
「獲り合いになるが」
しかしとだ、ここでこうも言ったダンだった。
「俺達は養殖ものを食ってな」
「ラッコは天然ものね」
「海胆等はそうなっている」
「そうなのね」
「ただ、飼育している分にはな」
「養殖もの食べさせてるのね」
「少なくとも俺の家の水族館ではそうだった」
ラッコを飼育しているが、というのだ。
「さっき話した通りにな」
「そうは見えないけれど、いや」
「身体が大きいな」
「確かにね」
ナンはラッコ達を観ていてそのことに気付いた。
「随分とね」
「身体も大きいしな」
「寒いところにもいて」
「寒いとだ」
ダンはさらに話した。
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