八条学園騒動記
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第五百八話 ナンと海その十二
「そしてね」
「日本に辿り着いてもか」
「当時の日本って島国で山ばかりでしょ」
四方は海の上でだ。
「それじゃあね」
「得意の騎馬戦術は使えなくてか」
「それでね」
そしてというのだ。
「負けたからね」
「馬で勝ってきた者達が馬を使えなくなったらか」
「わかるでしょ」
「勝てないな」
「だから元々元寇は負ける戦だったのよ」
モンゴルにとってはというのだ。
「そうした戦でね」
「負けてか」
「仕方なかったと思ってるわ」
「割り切ってるな」
「割り切るのもモンゴルよ」
そうしたものだというのだ。
「細かいところにはこだわらず」
「割り切ることにはか」
「割り切るのがね」
まさにというのだ。
「モンゴル人ってことよ」
「そうか、琉球とはまた違うな」
「琉球は海の国だからよね」
「伝統的にな。おおらかだな」
「そんな感じするわね」
「そうだな」
「ダンを見ていてもね」
ナンはダンの横顔を見てにこりと笑って告げた。
「そう思うわ」
「俺もか」
「ええ、じゃあ次は何処に行くの?」
「まだ時間があるしな」
「それじゃあ次ね」
「次はラッコのところに行くか」
ダンは一瞬考えてからナンに述べた。
「それならな」
「ラッコなの」
「この水族館ではあの生きものも人気だしな」
「そういえば言われてるわね」
「だからな、ラッコを観に行くか」
「それじゃあね」
「一緒に行くか」
「ええ、ラッコをね」
ナンはダンに笑顔で応えた、そうして次はラッコのコーナーに向かった。二人はまだ少しだけ水族館にいることにした。
ナンと海 完
2019・1・17
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